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未来を担うリーダーの条件 數土文夫(東京電力会長) 牛尾治朗(ウシオ電機会長) 數土 先般のソチオリンピック・パラリンピックでは 日本の若い選手が大変活躍しましたね。 ビジネスにおいてもこれからは、 オリンピックのような国際的ゲームで活躍しようという 意志を持って行動を起こしてきた人でなければ、 リーダーの資格はないと私は思います。 県大会、国体だけで満足しているようではならないと。 牛尾 いまはサッカーの本田圭佑選手や野球の田中将大選手が 海外の名門チームで活躍していますが、 世界レベルで活躍できるスターがいると、 その競技への注目も集まります。 ですから企業も、このグローバルな時代には グローバルなレベルのスターを持つ必要があるんです。 數土 社長は社長なりに、部長は部長なりに、 新入社員は新入社員なりに、 世界を意識して仕事をしていくことが重要です。 そういう環境で自分を育てていく人、 あるいは人を育てていける会社でなければ リーダーシップは取れないでしょうね。 自分の経験に照らして言えば、 40代後半くらいになってきたら、 自分とは全然異なる業界の経営者の仲間に入ったり、 外国の経営者の友達を4、5人持っているくらいでなければなりません。 鈴木大拙や新渡戸稲造、内村鑑三といった人たちは、 若い頃環境に恵まれずに苦労したことを一つのバネに 世界に通用する人物に育っていきました。 だからといって環境がよかったら 人材は育たないかというとそうでもない。 それは本田選手や田中選手を見れば分かることです。 ですから、豊かな中でどうやって健全な競争意識を育んでいくか、 ということがいまの日本の重要な課題だと私は考えます。 數土 こういう中でますます重要になってくるのが人間学だと思います。 以前牛尾さんと、京セラの稲盛和夫さん、セコムの飯田亮さんと 座談会をさせていただいた時には、先輩のお三方から、 最近の経営者はなんともふやけた顔をしているって こっぴどくやられてしまいました(笑)。 牛尾 數土さんはもちろん、 キリッとしたいい顔をなさっているけれどもね(笑)。 數土 いまのリーダーは昔に比べて人間的魅力に乏しく、 人間が小粒になっていく傾向があると言われています。 もしこのような傾向があるとすれば 人間学を学んでいないからだと思います。 そういう人は、いくらスペシャリティーのあることを 言ってもなんとなく軽薄に聞こえて、 相手に安心感や安定感を感じさせられないと私は思います。 牛尾 おっしゃるとおりです。 數土 これだけグローバルに、多種多様な人間と交流する時代には、 トップに立つ人間はますますいろんな人と チームをつくれなければなりません。 そこで必要なのはやはり人間学です。 人材は長所を見てあげることが大事ですが、 それも人間学が身についていないリーダーでは上手くいきませんね。 ITの時代といっていくらスマートフォンで情報収集しても、 人間学というのは身につきません。 やっぱり紙の本と向き合い、体験を重ねながら 時間を掛けて学んでいかなければならないものだと思うんです。 とりわけ古典を読むことが大事ですが、 これがいまのリーダーには不足しています。 牛尾 若い人にはピーター・ドラッカーも薦めたいですね。 彼は日本型経営を非常に支持した人なんですが、 ものを決する際の優先順位というのを説いているんです。 第一に、過去ではなく未来を選ぶ。 第二に、問題ではなく機会に焦点を合わせる。 第三に、横並びではなく独自性を持つ。 第四に、無難で容易なものではなく、変革をもたらすものを選ぶ。 そしてドラッカーは、この4つを選ぶのは 知識や見識や分析力ではなく、 リーダーの勇気だと説いています。 この勇気を日本流に説明すると、 胆識だと私は思います。 數土 メイフラワー号でアメリカに移った人たちは、 自分たちの社会を築いていくために、 一人ひとりが自分の持てるものすべてを供出しました。 そうしてコミュニティーが成り立ってから 一人ひとり平等に権利を分かち合ったわけです。 最初から権利があったわけではないんです。 日本もいま重要な興亡の岐路に立っていますが、 リーダーを目指す人間は権利より義務を 先にしなければいけないと私は思います。 国家に貢献する一流の国民を目指すべきだと思うのです。 |
2014.04.02 |
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