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恩に報いていく人こそ幸運に恵まれる 北尾吉孝(SBIホールディングス社長) 北 康利(作家) 『海賊と呼ばれた男』のモデルになり、いま再び脚光を浴びている出光佐三。 「人は資本なり」 「一人の馘首(解雇)もならぬ」 これらの言葉に象徴されるように、 人間尊重に立脚した経営道を生涯貫き、 出光興産を100年企業へと導いた 名事業家です。 北尾 出光さんは人間尊重の精神を深くお持ちで、 おそらくその根本は 彼の両親から来ているところが 大きいと思います。 出光さんの父親は 福岡県の宗像で染め物業を営み、 「働け。 そして質素にせよ。 ぜいたくをするな」 というのが口癖だったそうです。 しかし、化学染料の台頭で 藍玉が売れなくなり、倒産してしまう。 それでも一所懸命に働き、 僅かな稼ぎの中から 彼に学費を仕送りし続けている。 そういう親の愛情を一身に受けたことが その後の人生に繋がっていくんだと思います。 北 出光さんは最初に酒井商会という 小さな店に丁稚奉公に行きますよね。 その主人である酒井賀一郎さんに感謝をして、 後年、酒井さんが亡くなってからも、 出光の神戸支店へ行く前に必ず酒井商店に寄って、 酒井さんの遺影に頭を下げるのが習慣だった。 その部屋は謝恩の間と呼ばれていたと。 北尾 受けた恩を忘れない。 北 驚いたのは、家を建てる時に、 親の家より高い所には建てず低い所に建てた。 お墓の大きさも、先祖の墓が一番大きくて、 次が両親の墓で、自分の墓は一番小さい墓にしたこと。 親を含め、受けた恩を忘れない。 これは優秀な人に共通した生き方のベースです。 北尾 もう一つ、出光さんの人格形成に 大きな影響を与えたのが 神戸高商(現・神戸大学)で 出会った先生の存在です。 学問的には、内池廉吉教授がそうでしょう。 「これからは金儲けをする商人はいらなくなる。 生産者と消費者の間にあって、 ただ一つの配給業者のみが残る」 という教えを受けて、 中間搾取するものを排除し、 できるだけ安く、いまで言う カスタマー・サティスファクション(顧客満足度)を 100%以上に持っていこうと考えた。 それが後に創り上げる「大地域小売業」に 繋がっていくわけです。 それは石油製品の製造を行うだけでなく、 販売まで直結にするという仕組みです。 消費者にとっていいと思ったことを 何がなんでもやり抜く実行力がまた凄い。 それから精神面では、 水島銕也校長の教育ですね。 士魂商才、つまり清廉潔白で 責任感の強い武士の魂をもって、 商人として機敏に才を発揮する ということを叩き込まれた。 そしてまた、事業を起こすにあたって 資金を提供してくれた日田重太郎さんに 出会うのも神戸高商の時ですからね。 北 本当に人間の縁というのは不思議なものだと思います。 北尾 資産家だった日田さんは 「こいつは将来、大きなことをやる男だ」と見込んで、 自分の別荘を売った8千円のうち6千円を出光佐三に恵んだ。 北 それも「返す必要はない」と言ったと。 そんなありがたい人いないですよ(笑)。 北尾 出光さんはその恩に応えて、 後に造った船に「日田丸」と 名前を付けていましたよね。 神佑天助という言葉を出光さんは よく使われていますけど、 恩にきちっと報いていく、 そういう心掛けの人は天の配剤ともいうべき 幸運に恵まれるのでしょう。 |
2014.02.08 |
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