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勝利の神様に好かれる法則 谷川浩司(日本将棋連盟会長) 日本将棋界で歴代2位となる 「32期連続A級(トップリーグ)在籍」の 記録を出した棋士がいます。 日本将棋連盟会長で、 17世名人の資格を持つ 谷川浩司氏です。 史上最年少の21歳で 名人のタイトルを獲得し、 現在は9段。 日本将棋連盟会長として 将棋界の発展にも尽力されています。 いろんな体験を通じて実感するのは、 勝負で一番大切なのは、 優勢の時に焦らないということ、 劣勢の時に諦めないことだと思います。 優勢の時は早く勝って楽になりたいし、 劣勢の時もやっぱり負けて早く楽になりたい という気持ちというのがあります。 けれども負け将棋の時でも、 あるいは辛い時期でも とにかく自分の最善を尽くしていくこと。 その積み重ねがやっぱり長い目で見ると 大きな差になって表れてくると思います。 また、運というのも 勝負と深く関わっていると思いますね。 私は、一人ひとりが持っている 運の量っていうのは平等だと思うんです。 そして、運が悪い人というのは、 つまらないところで使っているんじゃないかと思うんです。 将棋の棋士を見ていると、 例えばトップクラスの棋士が やっぱり一番将棋に対する愛情、敬意を 持って接していますね。 対局前の一礼にしても、 羽生さんをはじめとするトップの人ほど 深々と礼をするんです。 その姿勢は相手が先輩でも後輩でも変わらない。 そして対局後に「負けました」と言うのは 一番辛いですけれども、 それもやっぱり強い人ほどハッキリ言うんですね。 それから、棋士の中には対局開始前 ギリギリにやってくる人もいます。 さすがにトップ棋士は 対局の10分、15分前には ちゃんと対局室に入るけれども、 そういう心掛けのできていない人は、 電車が遅れたりしたら大変です。 なんとか対局に間に合ったとしても、 その人はそこで運を使い果たしていると思うんです。 将棋も囲碁も先を読みますが、 どんなに頑張っても どこか読み切れない部分があります。 そういう最後の最後、 一番大事なところで 運が残っているかどうかというのが 非常に大事だと思うんです。 ですからどんな対局であっても、 与えられた条件で最善を尽くして 運を味方につけることが大事です。 対局の持ち時間を残して 勝負をあっさり諦めるような人は、 やっぱり成績も振るわないし、 最後の最後の大事な場面で 勝ちを逃すことが多いような気がします。 私は最近「心想事成」という言葉が好きで よく揮毫させていただくんです。 心に想うことは成るという意味ですが、 そのためには平素からどれだけ本気で 勝負に打ち込んできたかということが 大切だと思います。 真剣に、本気で打ち込んできた時間が長く、 思いが強い人ほどよい結果を得ることができるし、 そのための運も呼び寄せられるのではないでしょうか。 勝負の神様はそういうところをきちんと見ておられるし、 それはその対局の時だけでなく、 普段の生活すべてを見ておられると思うんです。 もちろん人間ですから 一日中将棋のことを 考えているわけにはいきませんが、 体の中心に将棋というものが 軸としてあるか、 そこが問われると思います。 |
2014.01.25 |
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