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人生の金メダルを取ろう 中村太郎(富山の薬売り) 「オリンピックの金メダルは 選ばれし者だけが取れるけれども、 人生の金メダルは誰にでも取れる」 そう話す94歳の 富山の薬売り・中村太郎氏が語った ――現役最高齢の富山の薬売りとして いまもご活躍と伺いました。 東京に住んでいる時には、 1000名くらいお客さんを持っていたけど、 60歳でこっち(埼玉県)に引っ越してからは、 500名くらいになったかな。 僕のお得意さんはJRの沿線が多くてね、 いまはアタッシュケースに薬を詰めて、 1日に3軒くらいを回れるようにしているの。 ――とても90代には見えないくらいお元気ですね。 僕がいまも薬売りを続けられているのは、 歩いてお得意さんを回ってきたからなんだな。 最寄り駅から目的の家まで往復していると、 1日で優に1万歩は歩く。 ところが僕よりよっぽど若い連中は 少しでも多く回って利益を上げようとして、 バイクや自動車なんかに頼ってしまったものだから、 足腰がダメになって皆やめていったもんね。 ――便利さが身を滅ぼしたと。 それから、いま盛んにオリンピックで 金メダルを取ろうと騒いでいるでしょう。 でも本当は金メダルには 有形のものと無形のものとがあると僕は考えている。 無形の金メダルというのは、 人生の金メダルと言ってもいい。 僕は縁ある人たちにこう言っているの。 「人生の金メダルを取ろう」と。 僕はこの運動の会長をしているんだな(笑)。 ――人生の金メダル? そう。日本人はね、米を主食にして いろんな副食を食べているから長寿なんだよ。 日本の朝食は世界で一番贅沢で美味しいのに、 日本人はそれに気づいていない。 僕は2度シルクロードを旅したことがあるけど、 どこの国の朝食も本当に味気なかった。 それと比べて、我われは毎日食べるご飯のおかげで 長生きができるんだから、 そのご飯にちなんで金メダルを取ろうと言うんだよ。 米という字は下からでも上からでも 八十という文字が入っているでしょう。 だから80歳までは生きなさい、と。 それが金メダルを取るということ。 80歳まで生きない人は、 代金を払わずに店を出ていく 無銭飲食と一緒だって言っている(笑)。 ――それは大変ですね(笑)。 僕はすでに金メダルの所有者になっているけど、 いまは何歳まで生きられるかということに一番興味がある。 |
2014.02.13 |
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