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なまえのチカラ 土師彩鶴(女流書道家) 皆さんは、ご自身のお名前が好きですか? 嫌いですか? 自分の存在を形づけているもの。 その1つが名前であることは言うまでもないでしょう。 私たちは誰一人として 名前をもらった瞬間を覚えてはいませんし、 ともすれば、名前があることを 当たり前に思ってしまいがちです。 しかし、そこには必ず 両親が込められた願いや祈りがあります。 名前――。 それは私たちが両親から受け取る、 最初にして最高のプレゼントです。 その一文字一文字を織り込んだ詩 「なまえのチカラ」を私が書き始めたのは、 いまから6年前、2008年のことです。 私が主宰する書道教室の生徒さんから 「娘に結婚祝いを贈りたい」 と依頼を受けて書いたものが 評判を呼んで以来、 看板もなくクチコミが広がり続け、 現在までに5千人以上の 「なまえのチカラ」を手掛けてきました。 作品を手にした方々からは、 「不登校の子が学校へ行けた」 「家族と仲良くなった」 「自分の名前に勇気をもらった」 という声をたくさんいただいています。 しかし、かつての私は 名前の素晴らしさに気づくどころか、 自分の名前すら意識したことがありませんでした。 私が嫁いだのは、福岡県久留米市にある、 社員数70名ほどの酒販業の創業家です。 当時の私は仕事と家事に明け暮れ、 自分の時間は全くありませんでした。 唯一の相談相手であった母は、 私が22歳の時に他界。 さらに私を追い詰めたのは、 20年にもわたる不妊でした。 会社を手伝う傍ら、 懸命に治療に励みましたが、 無情にも答えは◯か×しかない現実。 私は小さな虫さえ殺せないほど、 命について考え尽くしました。 その頃衝撃的なことが起こりました。 98歳の祖父が自宅で家族が見守る中、 合掌し微かに 「ありがとうございました」 と言って息を引き取る最期を 目の当たりにしたのです。 私は心が震え、心の底から 命の尊さを感じました。 唯一の救いは、母の勧めで 6歳から始めた書道でした。 真っ白い紙に文字を書いていると、 心が解放されるような感覚になります。 誰にも言えない心のうちを 母に打ち明けるかのように、 自分の思いを書き続けました。 そんなある日、いつもどおり 書に雅印を押そうとした時のことでした。 突然、 「自分の名前を書きたい!」 という衝動に駆られ、 夢中で筆を執ると、 身体の奥からエネルギーが湧き上がってくる 感覚を覚えたのです。 名前の一文字一文字に 深い祈りが込められていると気づいた私は、 深い感動と両親への感謝の念を 抑えることができませんでした。 それと同時に、 義父という尊敬する経営者の生の言葉や、 心の綺麗な主人が傍で見守ってくれた 有り難さに気づいたからでしょうか。 以来ポジティブな考え方になり、 不思議と運命が好転していったのです。 約1年後には待望の我が子を出産。 書道教室を開く夢も実現したのでした。 その後私は5千人以上の名前と 向き合ってきたわけですが、 名前を見ただけで不思議と 相応しい言葉が湧いてくるのです。 |
2014.02.17 |
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