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落語の道に終わりなし 桂歌丸(落語芸術協会会長) 今年77歳のいまも高座に上がり続け、 一昨年、3度目となる脊柱管狭窄症の手術を乗り越えてなお、 生涯現役を貫く。 ――歌丸師匠は今年で落語家人生63年を迎えられたそうですね。 まずは現在のご心境からお聞かせください。 自分が好きで入った道ですからね、 人に勧められてやっているわけじゃない。 そりゃあ波瀾万丈の人生ではあったんです。 でも、やっぱり周りの人たちに 支えられた面がずいぶんあるんですよ。 何の商売でもそうですけど、 若いうちは未経験ですから難しいことは難しいですよ。 それをいかに周りが教えてくれるか、 あるいは叱ってくれるかということですよね。 ――周囲の人の存在が大切だと。 私なんか、40くらいまでは そういう師匠や先輩連中に ずいぶんと支えられたんじゃないかな。 つまり、そこで人間というものが拵えられていった。 好きで選んだ道を歩いてきて、 途中で反発もしました。 脇道にも逸れました。 けど、やっぱり気がついてもとの道へ戻る。 この気づき方なんだよね、問題は。 早く気がつきゃいいんですけど、 遅いともう手遅れになることもある。 ――きょうはこのあと千秋楽での高座を控えていると伺っておりますが、 77歳のいまも現役でご活躍されていますね。 高座まで自分の足で歩いて行って 喋れる体力と気力さえあれば 生涯現役でいたいと思っています。 だって私たちに終点、到達点っていうのはないんですもん。 私たちが到達する時はいつか、 目を瞑った時ですよね。 これはあらゆる人に言えることじゃないでしょうか。 だから「もう俺は頂上へ登っちゃったんだ」と 思っているやつは絶対ダメだと思う。 転がる一方ですよ。 私はいまでも噺の稽古をしたり、 新しい噺を覚えたりしています。 そりゃ苦しいですよ。 だんだん体も言うこと聞かなくなってくるし、 記憶力も鈍ってきますから。 「じゃあ何でそんなに苦しむんだ」ってよく聞かれる。 私は「楽したいから苦しむんだ」って言うんですよ。 楽をしようと思ったら苦しまなきゃ。 苦しまないで楽だけしようったって、無理な話ですわ。 「じゃあ歌丸さん、あんたが楽をする時はいつだ」 って聞かれたら、 それはやっぱり目を瞑った時です。 目を瞑ってまで苦しい思いはしたくない。 |
2014.03.07 |
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