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人生は心掛けと努力次第である 笠原将弘(日本料理「賛否両論」店主) 東京恵比寿に一風変わった名前の料亭があります。 日本料理「賛否両論」。 毎月1日には翌月の予約がすべて埋まってしまうという超人気店です。 笠原 高校生の時、たまたまテレビでパティシエのワールドカップみたいな ドキュメンタリー番組をやっていたんですね。 当時はサッカーも毎度ワールドカップは予選落ち、 野球もメジャーリーグでそこまで活躍している人もいなくて、 日本人って世界に通用しないんだと思っていました。 ところが、強かったんですよ、 その日の丸をつけたパティシエの日本代表チームが。 自分も手に職をつけて、世界で戦えるような料理人になろうと思って、 父に話しましたら、「じゃあ、日本料理の修業をしてこい」と。 それで東京の吉兆に入社しましたが、僕以外の同期は みんな調理師学校を出ていて、ズブの素人は自分だけ。 だけど一か月くらい仕事をしたら、 全然問題ないなと思いました(笑)。 奥田 私も高卒ですぐに現場に入りましたから、 調理師学校卒には負けないぞ、と思っていました。 笠原 もちろん、最初は僕だけ何もできませんから、 大きな声で返事をすること、 掃除や鍋磨きをさせたら笠原が一番綺麗だぞ、 と言われることを意識しました。 あと、買い物とか得意だったんですよ。 小さい頃からおつかいを頼まれてきましたが、 うちの親父は無駄や効率が悪いのをすごく嫌って、 「商店街をこういう順番で行けば一回で済むだろう」 とか、うるさかったんですよ(笑)。 だから修業時代もそういうことを意識して、 買い物に行っても最初に重いものを買うと大変だから、 このルートで回ると一番効率がいいなとか、 品切れの時はどの店に同じ物が置いてあるかを覚えておく。 あとは、帰る前に電話を入れて 「これから帰りますが、追加はありますか?」と確認する。 そうすると、先輩に「あいつ、気が利くな」と 思われるじゃないですか。 奥田 私も全く同じで、休憩時間に鍋磨きを終わらせておくとか、 ゴミ捨てに行ったら一番早く帰ってくるとか、 まずは先輩から頼りにされる後輩になろうと思いました。 頼りになれば、先輩がそばに置いておきたくなりますから。 笠原 「これやっておけよ」と言われた仕事を、 先輩が思う倍のスピードで終わらせると、 「じゃあ、これもやるか?」となりますよね。 あるいは、大量の弁当の注文が入っているとか、 明らかにいつもとは仕事量が違う日があるじゃないですか。 これは先輩たちだけじゃ間に合わないなっていう、 そのチャンスに気づけるかどうか。 奥田 そうそう。そういう時は前の晩から戦闘態勢で、 絶対に朝早く行って、先輩が来る前に 素材の下処理を終わらせておくと。 笠原 そういう準備をしておけば、目が回るくらい忙しい時に 「手伝わせてもらえますか」と申し出たら、 先輩もやらせてくれますよ。 |
2015.02.19 |
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