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苦は楽のため、楽は苦のため 長岡三重子(世界記録を24個持つ100歳の現役スイマー) 世界にただ一人、100歳を超えてなお、 競技水泳を続ける超人がいます。 山口県にお住いの長岡三重子さん。 マスターズの世界で圧倒的な強さを誇り、 現在、24個もの世界記録を保持しています。 水泳と出逢ったのは80歳、 本格的に練習を始めたのは91歳でした。 長岡 私は籾殻の卸売りで得たお金で 55歳の時から観世流の能を始めたんですね。 まず謡を始めまして、仕舞や舞囃子、 最後は能面と装束をつけて舞うくらいまでなりました。 商売の傍ら、自分で稽古場もつくって 能に打ち込んでおりましたら、 そのうちに膝が悪くなりましてね。 能は膝を曲げて中腰になったり、 すっと立ってすっと座る。 それがあまりできなくなったので、 80歳の時からプールで歩くようになって、 水泳も始めました。 守田 リハビリのために水中ウオーキングを されたことがきっかけだったのですね。 実は、私も走って疲れたらプールに行って、 25メートルのプールを1000歩歩きます。 そうすると綺麗に疲れが取れるんですよ。 いまも週2回は通っています。 長岡 それを続けていったらいつの間にか膝は治って、 また能を舞えるようになりました。 そんなことで、最初は水泳をする気はなかったんですけど、 87歳の時に今度は耳が悪くなりましたから、能は断念してね。 それで水泳一本に力を入れることにしたんです。 最初は25メートルも泳げなかったですが、 やっぱり練習というのはすごいものですね。 週3、4回の練習をずっと続けていったら 1000メートルでも1500メートルでも泳げるようになりました。 で、88歳の時に初めてニュージーランドの世界選手権に 出場して銅メダルを1つ取りました。 その2年後にはイタリアで世界選手権があって、 今度は銀メダルを3つ取りました。 この時に火が点いたんですね。 金が取りたいって。 守田 やっぱりやるからにはトップにならなきゃ 気が済まないですよね。 長岡 そのためには効率的に泳がなきゃいけないと思いましたので、 91歳の時にコーチについたんです。 一所懸命教えてもらって、 毎年毎年タイムがよくなってね。 だから、91歳から年を取るたびに 速くなったんです。 その4年間の努力が 95歳の時に花咲いたんですね。 18本の世界記録を取ることができました。 その年は1年間で55回も 大会の試合に出場しました。 84歳からマスターズの大会に出始めて、 この前も三重まで行ってきたんですけど、 全部足すといままで大会で365回泳いでいるんです。 やっぱり、目標を持ってね、 それに突き進んでいかなければいけません。 年を取って輝く人っていうのは ある程度努力をした者ですよね。 若い時と同じように、年老いてからも 一所懸命努力しなきゃならないと思います。 そういう人だけが楽しい思いをするようになるんです。 それをただ楽ばかりしておったんじゃ、 ろくなことはありません。 |
2015.01.31 |
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