過去の一語履歴を見ることが出来ます。
日本一のブランド戦略 江夏順行(霧島酒造社長) 全国200以上のメーカーが鎬を削る焼酎業界において、 2012年から2年連続で日本一の売上高を誇る霧島酒造。 ここ15年の間で売上は7倍になり、 全都道府県でシェア10%以上を達成しています。 その牽引役となったのが、焼酎市場に大変革をもたらし、 いま全国的に人気を得ている芋焼酎「黒霧島」です。 江夏 食の偽装問題がたびたび報じられる時代にあって、 我われのような会社は信頼されるブランドを 築くことが非常に重要です。 あの企業が好きだから、この商品を買う。 そのようにお客さんに愛される、品質の高い焼酎をつくる。 それがときめきや感動を生み出し、 揺るぎない信頼を築くことに繋がると考えたんです。 その価値観のもと、開発に至ったのが「黒霧島」でした。 従来の芋焼酎は米や麦と比べて 洗練されていない独特の香りのある焼酎で、 「芋臭くて苦手」という人もたくさんいたんです。 そこで、「トロッとキリッと」と表現しているとおり、 芋の香りがきつくなく、その代わり甘みが増して 後味もすっきりとした焼酎にしました。 また、味わいだけではなく料理との相性も 非常に大事にしました。 食事の邪魔をしない、 むしろ食事を引き立たせると。 自己主張を強くするのではなく、 他者を生かすことを心掛けたんです。 ――「黒霧島」の発想はどこから生まれたのですか。 江夏 その当時、ビール業界では ドライ戦争が起こっていました。 キリンビールのラガーが市場を席巻し、 低迷していたアサヒビールは市場調査をもとに、 社の命運を賭けて「アサヒスーパードライ」を打ち出しました。 すると、これが記録的な大ヒットとなり、 各社がこぞってドライビールを出していった。 ラガーの舞台ではなく、 ドライの舞台をつくったんですね。 そして最終的にはアサヒが勝ち、 シェアトップに立ったのが、 私がちょうど社長に就任した年でした。 それを見て、「あっ、これだな」と思ったんです。 同じ時期に黒酢や黒豚、黒ごまなど、 南九州産の黒をモチーフにした商品が ブームになっていたことに加え、 大半の蔵元が白麹を用いて仕込む中、 黒麹の焼酎も一部の地域で細々とつくられていたことが ヒントになりました。 黒をスタンダードにした新しい舞台を本格的につくり、 黒戦争を仕掛けることを決断したんです。 ――ああ、黒戦争を仕掛けると。 江夏 当初、開発に当たっては営業部隊から 全く受け入れられませんでした。 「『いいちこ』が象徴しているように、 焼酎は芋ではなく麦や米が主流になっている。 だから、そういう焼酎をつくるべきじゃないか」と。 しかし、私はこの「黒霧島」の開発こそが 我が社の飛躍の原動力になると確信し、 チームを組んで開発に踏み切りました。 数百回に及ぶ調合を延々と繰り返し、 1998年にようやく完成に漕ぎ着けることができたんです。 ――反応はいかがでしたか。 江夏 最初はあまり売れませんでしたが、 手応えを感じるようになったのは 発売から1年経ったくらいですね。 従来の芋焼酎と違って非常に飲みやすく、 食事と一緒に楽しめますので、 地元宮崎の女性客の間で評判になっていきました。 営業も「これはいけるかも」ということで、 2001年から福岡でキャンペーン展開し、 数年ごとに広島、関西、東京という順番で、 徐々に市場を広げていきました。 で、案の定ライバルも黒の舞台に上がってきて、 白の市場から黒ブームに転換したんです。 ――既成の市場ではなく、新たな市場を生み出したわけですね。 |
2015.02.04 |
〒979-0154
福島県いわき市沼部町鹿野43
Mail infous@kushida-web.com
TEL 0246-65-2311
FAX 0246-65-2313
定休日:土曜日・日曜日