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イノベーションを生み出す秘訣 松波晴人(大阪ガス行動観察研究所常務取締役) いま、ビジネスの場で注目を集めている 「行動観察」という新しいマーケティング手法を ご存じでしょうか? 対象となる現場に行き、 そこで行われている行動や言動を観察し、 その場の人々の思いに耳を傾け、そこから得た様々な気づきをもとに 新たなソリューションを導く。 これまでに手掛けてきた案件の一つに、 大阪の紀伊國屋書店本町店のリニューアルがあります。 来店客の行動観察をもとに、 店内でカウンターにもたれながら本を読める 「ちょい読みコーナー」を提案しました。 これは従来、本を選ぶ場であった書店を 本と出合う場にリフレームしよう、 つまり、枠組みそのものを変え、 まだ誰も気づいていない新しい価値を生み出そう、 というものでした。 しかし、店長さんの賛成は得られたものの、 スタッフの方々からは、お客さんが居着いてしまう、 メンテナンスの手間がかかる等々、反対に遭いました。 それでも諦めず、粘り強く交渉を重ねて 設置に漕ぎ着けた結果、 売り上げアップに貢献することができました。 何より大きな収穫は、 現場に新しいことに挑戦する意識が根づき、 職場の文化が大きく変わったことでした。 行動観察で大切なマインドセットは三つあります。 その一つは、チャレンジ精神です。 従来にない全く新しい土俵をつくろうというわけですから、 自分の住み慣れた場所を飛び出して、 宇宙に行ってみようというくらいに 斬新な発想で臨む必要があるのです。 二つ目は、前向きさを失わないことです。 新しいことに挑戦する際に困難はつきものであり、 それでも前進を続ける前向きさは不可欠です。 そして最も大切なのが 「他己実現」であると私は考えます。 有名なマズローの欲求五段階説では、 人間は食欲、睡眠欲といった根源的な欲求が満たされると、 より高次な欲求を志向するものであり、 最後に「自己実現欲求」に至ると説かれています。 しかし、マズロー自身が晩年に補足していたように、 人間にはこれよりさらに高次の 「他己実現欲求」というものがあるのです。 これは簡単にいえば、 自分以外の他者の自己実現を助けたいという欲求であり、 行動観察にも極めて大切な視点といえます。 例えば、お年寄りの行動観察をする場合、 この方々をどうやったら幸せにできるか、 といった視点で臨まなければ、 決してよい結果は得られないと思うのです。 紀伊國屋書店のリニューアルは、 まさしくこうした精神に基づいて実現した好例といえるでしょう。 世界ではいま、次々と新しい土俵が生まれつつあり、 日本も手をこまねいていては、 他の国や会社の下請けのような立場に甘んじることになります。 |
2015.01.22 |
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