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伸びる人の条件 山口 香(柔道指導者/筑波大学大学院准教授) かつて女子柔道は、欧米のほうがレベルが高く、 日本人選手がメダルに届くことはあまりありませんでした。 そんな中、1984年の世界柔道選手権大会で 日本人女性初の金メダリストとなり、「女三四郎」と称えられた山口香さん。 村上 山口さんは指導者になってから、 イギリスに留学されていますね。 山口 日本オリンピック委員会に 指導者を養成するための海外派遣制度があって、 それに応募したんです。 その頃、世界の女子柔道ではイギリスが格段に強くて 「なぜだろう」という疑問もずっとありましたから。 渡英前、私はイギリスの選手はきっと 恵まれた環境で稽古をしているのだろうと 憧れの気持ちを持っていました。 でも行ってみたら全く大したことなくて、 こういうところから強い選手が なぜ生まれるのかが本当に不思議でした。 村上 どこにその秘密があったのですか。 山口 1年間イギリスにいて学んだのは、 私たちの時代がそうだったように、 恵まれない環境の中では、 やる気がなかったら絶対に強くならないということです。 だから、お尻を叩かれて やらされている選手は一人もいない。 アルバイトをしながらとか、 皆苦労して強くなりたいと頑張っているんです。 一人ひとりが自立している という印象を強く持ちましたね。 結局、試合で土壇場に追い込まれた時、 必要な力が最後にどこから出てくるかというと、 何としても自力で勝つという精神なんですね。 監督やコーチがいくら応援しても、 これはどうにもできません。 村上 なるほど。 伸びる選手は皆、意識が高いんですね。 心の持ち方が勝敗にも大きく影響する。 山口 村上先生がおっしゃっているように、 遺伝子のスイッチがオンになった選手は 放っておいても勝手に伸びるんです。 指導者に求められるのは、 そのスイッチをどのタイミングで押してあげるかです。 それには「やればできる」という 成功体験をどこかでさせてあげることが欠かせません。 よく「負けて学ぶ」ということを言いますよね。 負けたり失敗したりするのも勉強ですから 私は必ずしも否定しませんが、 勝たなければ絶対に自信には繋がらないんです。 自信をつけさせるために、例えば自分より少し弱い相手のところに 連れて行って稽古をさせ、自信をつけたところで もう少し強い相手と組ませてみる、ということもやりました。 自信がつくと自然と上を目指すようになるので、 そのモードに入れるまでが私たちの仕事だと思っています。 村上 それは学者にも言えることで、 自分がやった研究が論文として認められるといった 小さな成功体験を重ねると、遺伝子にスイッチが入ります。 |
2015.01.29 |
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