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将らず、迎えず 応じて而して蔵めず 牛尾治朗(ウシオ電機会長) 経済同友会代表幹事や日本生産性本部会長など、 数々の要職を歴任し、日本の経済界を牽引する ウシオ電機会長・牛尾治朗氏。 日本がいま直面している変化は、 かつて経験したことがないほど大きなものといえます。 この変化によって日本が今後どうなっていくかを 見通すことは至難の業です。 いまリーダーに求められるのは、 この困難な状況を前向きに捉え、 チャレンジする姿勢を堅持し続ける以外にありません。 『荘子』に、 「将(おく)らず、迎えず、 応じて而(しか)して蔵(おさ)めず」 という言葉があります。 過去を追わず、将来に取り越し苦労をせず、 その時機に応じて適切な措置を取り、 その結果は淡々と受け止めて心に留めない指導力です。 過去に囚われ、将来を憂えているばかりでは 事態は好転しません。 当面の変化にはその都度的確に対応し、 しかもいつまでもそこに留まることなく、 速やかに次に備える。 要は各々が基本に立ち返り、淡々と、着実に、 為すべきことを実行していくことこそが、 いまは一番大事だと私は考えます。 試練に見舞われているのは、日本ばかりではなく、 世界の他の国々も同様です。 数年前には、世界経済の約50%を握っている日米欧が、 間もなくBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ) などの新興国に駆逐されるだろうと盛んに言われていました。 ところがこれらの国々もインフレで軒並み成長が鈍化し、 新世紀の世界秩序はいまだ混沌の中にあります。 いまはすべての国、すべての分野に 明るいチャンスがある一方で、 一歩間違えれば奈落の底に転落する危険性も 孕んでいるという状況です。 ここから活路を見出していくには、 やはり、 「将らず、迎えず、応じて而して蔵めず」 というプロフェッショナルな対応力を、 現実の場でどれだけ実践できるかが 大きな鍵を握ることになるでしょう。 基本を疎かにせず、どのような状況にも きちんと対応し続けること。 また、その力をしっかりと養うこと。 このことによって道は必ず開けてくるはずです。 |
2015.02.16 |
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