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最強のチームをつくる指導者の条件 岩出雅之(帝京大学ラグビー部監督) 全国大学ラグビー選手権大会で圧倒的な強さを見せつけ、 前人未到の6連覇を達成した帝京大学ラグビー部。 1996年から20年にわたってチームを率い、 史上最強の集団へと育て上げた岩出雅之監督が語った ――大学日本一という目標は当初から掲げておられたんですか。 岩出 監督に就任した時から考えていました。 でも指導者というのは口でそう言っていても、 心の内では当面ベスト4を目指していたりするものなんです。 やっぱり本気で夢に挑むには、 自分が考えていることの幅を大きくしていかないとダメですね。 小さく望んでいたらやっぱり その程度の努力しかしないし、結果も出ない。 日本一になりたいなら 本気で日本一という夢を掲げないと、 いつまでも日本一にはなれないんですね。 ――夢に挑むには指導者が本気になることが大事なのですね。 岩出 はい。そして何よりもチームの志の高さ というのが大事だと思います。 どうしても日本一になるんだ、 本気で現実にするんだという気持ちを持つ者が、 何人いるかによって勝負は決まります。 そういう志、本気度をチーム全体に 浸透させていくのが僕の仕事でした。 ――日々の練習で特に心掛けられたことはありますか。 岩出 ベストメンバーが怪我をして 負けてしまったことがありましてね。 それまではレベルの高い過酷な練習を課し、 それを一所懸命やっている選手の姿を見て満足していたんですが、 そこに落とし穴がありました。 必ずしも全員がそれに耐えて、 モチベーションを維持できるわけではないんです。 そういう練習は、例えば大きな丸太ん棒を削って、 1本の爪楊枝をつくるようなものです。 爪楊枝1本のために貴重な資材の 多くの部分が捨てられていく。 淘汰ということのマイナスを実感しました。 よく組織に2:6:2の法則があるといわれます。 上の2割は放っておいてもやる子で、 下の2割は全然やらない子。 真ん中の6割はどっちにも転ぶ子です。 そこで僕は、上の2割の幅を何とか3割に広げ、 全体の7割をとにかく前向きにしていこうと考えました。 淘汰ではなく皆でやっていこうという空気をつくり、 その基準を少しずつ上げていこうと。 それによって選手層が厚くなり、 怪我人が出ても次のメンバーが代わりを務められるチームになりました。 併せて、怪我をさせない練習メニューを工夫し、 激しい練習の後では体をしっかりケアする。 さらにはグラウンドの外での過ごし方についても 心を配りました。 試合でのパフォーマンスは、 グラウンドの外での過ごし方にも 大きく左右されるからです。 そうしてチーム全体の底力を上げていくことによって、 平成22年1月に全国大学選手権で初めて優勝し、 大学日本一の夢を実現できたんです。 ――岩出監督の考える指導者の条件とは何ですか。 岩出 自分がチームをどこに導きたいと考えているのか、 その視点がしっかりしていないと 何も生まれないと思います。 ただ目の前の勝利だけ見ているのと、 学生たちの未来まで見てあげているのとでは、 彼らの将来はまるで違ってくるでしょう。 ですから指導者に努力や学習意欲のないチームには 未来はありません。 指導者がこれぐらいでいいと考えたところで、 学生たちの可能性を摘み、チームの歩みも止まります。 だから指導者は成長し続けなければならない というのが僕の哲学です。 |
2015.01.13 |
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