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リーダーが大切にすべき言葉の使い方 太田誠(駒澤大学野球部元監督) 大学日本一を決める明治神宮野球大会で今年5回目の優勝を果たした駒澤大学。 2005年まで35年間監督を務め、同校を大学野球屈指の名門校に育て上げた 名将――それが太田誠さん。 リーグ優勝22回、日本一9回、通算勝利数は500勝を超え、 さらに中畑清、石毛宏典、野村謙二郎、高橋尚成、新井貴浩、武田久ら 数々のスター選手を輩出してきました。 太田 私もなぜこんな言葉を使ったんだろう、 なぜこんな態度を取ったんだろうと 思い浮かんでくることはたくさんあります。 自分への反省も含め、指導者は悲観的、否定的な言葉を 使ったら絶対にいかんなと思います。 そういう意味では、 今年の5月に私は交通事故に遭ったでしょう。 大八木 あの時は重体というニュースを見て、 驚きました。 太田 夜の7時に雨の降る中、 孫を迎えに行く途中でした。 思った以上に雨が強くて、 もっと大きな傘でなければダメだと 家に向かって踵を返した瞬間、 無灯の車が「ドン!」と来ました。 私ね、この時、本当にスポーツをやっていて よかったと思いましたよ。 飛ばされた反動で肩を外してしまったのですが、 自分でググググっと押し込みました。 監督時代、スライディングで 肩を外した選手を何人も治してきましたから。 脚を複雑骨折していたので、 動く腕を使って匍匐前進のような格好で 家まで戻ると、幸い息子がいました。 「救急車を呼ぶ」というから、 「ダメだ、遅くなる。すぐに病院に連れていけ」と 瞬時に判断できたのもよかったんです。 3日後に手術をして、病院の話では それから退院まで4、5か月かかるという。 そんなにかかったら大変です。 これまでの知恵と経験を総動員して どうすれば早く治るかを自分なりに考えました。 「ピンチの時ほど明るい顔をしろ」 と常に選手に言っていましたからね、 それに挑戦したんです。 病院に入ってから、ナースコールを 押したのは最初の1回だけ。 「痛い」と言ったことは1度もない。 先生が痛み止めをくれるんだけど、 これは筋肉を麻痺させるから治りが遅くなると思って、 1度ものみませんでした。 また、これまで滅多に病院なんて行きませんでしたから、 ああ、病院の先生や看護師さんって大変なんだなと 感謝の心を抱いたら、 逆に自分の怪我への挑戦心みたいなものが芽生えて、 結局、50日で退院しましたよ。 大八木 5か月のところ50日で。 太田 はい。この経験を通じて、 改めて意識が大事だと思いましたね。 退院後には杖も突かず、 すぐに家の周りの草むしりをしました。 それで月に1回、経過を見せに 病院へ行っているんですけど、先生が 「どうですか、痛くないですか?」とか 「天候が不順の時は湿気が多くなるから、 折れたところが重だるくなりませんか?」 と聞くものだから、 「先生ね、そういう悲観的、否定的なことは 言っちゃいけませんよ。 私たちスポーツの世界では通用しません」 と言ったら、看護師さんたちも大笑いしていました。 大八木 でも、本当に早い回復で何よりでした。 太田 いま振り返ると、これもまた 体験させてもらったという気持ちです。 これまで無茶をやりながら自分で考えてスポーツをやってきた経験が、 こういう時にも生きてくるんですね。 太田 指導者には根気が必要です。 自らやり遂げた上で 選手にもやり遂げさせなければなりません。 |
2014.12.17 |
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