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当たり前の上にプラスアルファを積み重ねる 木下 彩(庭のホテル東京総支配人) 東京・水道橋の一角にある 美しい和とモダンが融合した おもてなしの空間「庭のホテル 東京」。 2009年の開業以来、ミシュランガイドのホテル部門で 5年連続2つ星を獲得しています。 前身のビジネスホテルを切り盛りしていた 両親をがんで相次いで亡くし、2児の母から経営者となった木下彩さん。 ホテル経営のいろはも分からない中から、 いかにして“どこにもないホテル”を創り上げたのか。 (庭のホテルの前身の)東京グリーンホテルはオープン以来、 満室が当たり前という時代が長かったんですね。 小さな規模ではありましたけど、 水道橋、後楽園、御茶ノ水に3つのホテルを展開し、 ある程度名前も知られていました。 私が社長に就任した頃はバブルが弾けた後でしたが、 それまで高級ホテルを利用していたビジネスマンの 受け皿になっていたんです。 ですから、初めの頃は 何とかなるかなと呑気に考えていました。 ところが、1990年代後半になるとそれも限界に達し、 もろに不況の波を受けるようになりました。 さらにインターネットの普及によって 価格競争に拍車がかかったんです。 加えて、施設自体が老朽化し、 何か手を打たなければならない状況でした。 で、会社とスタッフを守るため、 思い切ってホテルを一新することに決めたんです。 ――ホテルの建て替えに関して、あるインタビューで 「限られた予算と価値基準の範囲内で、 譲れる部分と譲れない部分のせめぎ合いの連続だった」 とおっしゃっていたのが印象的でした。 確かに予算も建物のスペースも限られていました。 だからといって、ここはすごく心を込めたけど、 ここは予算がないから手を抜きました っていうことはしたくなかったんです。 細部にわたって心配りが行き渡るように、 最大限ゆったりくつろいでいただけるように、 スタッフや建築家の先生と議論を重ねていきました。 例えば、客室はなるべく正方形に近い間取りにし、 配管などをすべて廊下側に寄せて、天井を高くしています。 ですので、同じ平米数でも より広く感じていただけるんです。 また、机の角を丸くして 当たっても痛くないようにしていたり、 卓上のコンセントの位置を 一段低くして目立たないようにしています。 それと、客室に設置されている 木の柱や格子状の仕切板、 これらは別に建築上全く必要ありません。 むしろないほうが掃除しやすいんですね。 でも、これがあることによって、 より和の雰囲気を感じていただける。 あと、やはり日本は包んだり隠したりする文化ですので、 ドライヤーなどは剥き出しにせず、袋に入れています。 これらはほんの一部にすぎませんが、 言われないと気がつかない細部にわたるこだわり。 その積み重ねが快適さに繋がる 重要なポイントだと思うんです。 ――まさに創意工夫の賜物ですね。 取材を受けると、 「ここをつくるにあたって、 参考にしたホテルはどこですか」 とよく聞かれるんですが、 私はどこかを参考にしてつくろうという 意識は全くなかったので、正直驚きました。 同業他社がやっていることを真似しても 差別化にはなりません。 それは当たり前のことです。 その当たり前の上にプラスアルファをしていく。 自分たちでどういうホテルにしたいかを考えてつくる。 それが結果的にどこにもないホテルに 繋がったのかなと思います。 |
2014.11.12 |
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