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意識が環境をつくる 福島徹(福島屋会長) 近年苦戦を強いられているスーパー業界において、 躍進を続ける食品スーパーマーケット福島屋。 安売りや折り込みチラシに頼ることなく 40年以上にわたって黒字経営を続け、 お客様から絶大な信用を得ています。 しかし、かつては全く売れない苦しい時期が 長く続いたといいます。 福島 とにかく売れないからどんどん在庫が増えて、 なおかつ鮮度も落ちていくでしょう。 僕はその現実に恐怖を覚えました。 だから、何とかしてお客様に商品を手に取ってもらおうと、 毎晩陳列のし直しを始めたんです。 夜10時に店を閉めて従業員さんを帰してから、 1人残って2、3時間陳列し、 翌朝の4時半には市場に行って、 仕入れたものをまた陳列して店を開ける。 その繰り返しでした。 毎日睡眠が2、3時間しかとれなくなると、 肝臓にくるんですよね。 だんだん顔色が悪くなって あっという間に体重が15キロも落ちてしまい、 仲間からは「休まないと死んじまうぞ」と言われました。 でも、もうその頃には思考能力がないんですね。 落ち着いて物を考える力が 全然なくなって朦朧としている。 でも何か動いていないと、もう不安で不安で……。 ――そこまで追い詰められたと。 薄暗い店の中で1人座り込んで、 「もうダメだ。楽になりたい」 と思う度に何とか踏みとどまっていたのですが、 ある晩、これはもういよいよ本当にダメだなと。 その時はただボーッとしていたのですが、 ふと脳裏にお客様の顔が浮かんできたんですよ。 ――お客様の顔、ですか。 その時のことは鮮明に覚えているんですけど、 暗闇の中から、 「頑張れよ」とか 「昨日のメロン、美味しかったよ」って 僕に向かって声を掛けてくださっていた お客様の顔が次々と現れてきたんですよ。 僕は胸が熱くなって、 もう涙が溢れて止まりませんでした。 ――あぁ涙が。 商売の原点はお客様のお役に立つためにあるはずなのに、 僕はそのことをすっかり忘れていたんです。 それどころか僕は毎晩心の中で、 なぜこんなに頑張っているのに売れないんだと、 全部自分以外の人や環境のせいにしていました。 でもこんな状態の店に足繁く通ってくださるお客様が いるんだということに気づくことができて、 「ありがたいなぁ」 と素直に感謝できる気持ちになれたんですよ。 そうしたら、不思議なことに その日を境にして売り上げが少しずつ持ち直してきました。 ――心の変化が現実を変えてしまったわけですね。 思うに環境をつくるのは人間なんですよ。 もっと言えば意識がものをつくる。 意識があるから自分の行動や言動が決まっていくでしょう。 だから心から「ありがたいな」っていう意識でいれば、 それが表情とかお店のちょっとした陳列とか、 惣菜の味なんかにも伝わっていくんですよ。 僕はこの時そのことを実感できました。 とても辛い思いをしましたが、 この経験があったからこそ、 いまの福島屋があるのだと思います。 |
2014.10.04 |
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