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固定観念に囚われない発想法 藤本トモエ(トモエ算盤社長) いま算盤の効用が見直され、人気が再燃しています。 算盤製造のトップシェアメーカー トモエ算盤。 大正9年創業の老舗でありながら、高齢者の認知症予防を目的にした教室や 海外での算盤教室など、斬新な取り組みを行っています。 ――お父様が残された算盤と ご自身が培ってきた経験を融合され、 新たな道を開拓されたのですね。 やっぱり教えるということが自分に向いていたというか、 興味のあることだったので、 そこからどんどん算盤の世界に入り込んでいきました。 特に2000年にはハーバード大学で 「マルチプルインテリジェンス」という理論を学んで 非常に刺激を受け、自分の教育観にも影響がありました。 多重性知能ともいうのですが、 人間には誰しも8つの知性が備わっていると。 日本では言語や数学的・論理的な能力のみを 「知性」と呼んでいますが、 方向感覚やリズム感、芸術センスなどに加え、 対人関係能力や自身を深く内省する力も、 大切な知性だといっています。 そして、よく自己分析をして、 自分の高い知性を使って学習すると 他の知性も伸びることがあるそうなんです。 だから算盤も、一方的に読み上げ算をやり続けるだけでなく、 例えば運動しながら算盤をやったらどうだろうかとか、 創意工夫をして様々な教授法を考えるようになりました。 ――運動しながら算盤とは、 子供たちも楽しみながら学べそうです。 たぶん、私自身が子供の頃、 算盤塾に行っていなかったのがよかったんだと思います。 人間は自分がやってきたことを 肯定してしまうんですね。 その点、私には「算盤塾ってこういうもの」 という概念がないから、 真っ白なキャンバスに「こうしたらどうだろう」という算盤塾を 自由に思い描けたんじゃないかと思っています。 ――何も知らなかったからこそ、自由な発想でやれたと。 そうですね。 そしてそれらを実践する中で 算盤の価値、素晴らしさに気づくことができました。 算盤はやればやっただけ確実に上達して、 達成感を味わうことができるんですね。 例えば書道で金賞と銀賞を決める時、 どっちがうまいかを判断するのは先生です。 あるいは少年野球でどの子がレギュラーになるかも、 最終的には監督の裁量が挟まれます。 しかし、算盤の検定は7分以内にどれだけ正確にやれるか、 結果がビシッと出ます。 誰かに付け届けしたからいい成績になる なんていうことは絶対にない。 ある意味とても気持ちのいい結果が出ますから、 努力すればした分だけ結果になって表れ、 子供たちの自信になると思っています。 教室の壁に、 「practice makes perfect(練習は不可能を可能にす)」 と貼っていますが、そういう精神を 算盤を通して子供たちに植え付けていきたいですね。 |
2014.09.30 |
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