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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.094

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一語履歴 vol.100
まことの花... 100aいくつに... 100b悔しさ... 100cごめんなさいね...
一語履歴 vol.099
一流に... 099a幸せになる... 099b不満は... 099c不可能を...
一語履歴 vol.098
たった... 098a伸びる... 098b天の声... 098c人生の花... 098d一生修行...
一語履歴 vol.097
22年間... 097a信頼... 097bゾウ... 097c人生の花...
一語履歴 vol.096
求められること... 096a迷った時... 096b脊髄に... 096c試されている...
一語履歴 vol.095
日本一... 095aアイデアの... 095b偲ぶ... 095cよそが...
一語履歴 vol.094
学びこそ... 094a世界一... 094bおせっかい... 094c僕が看取った...
一語履歴 vol.093
意味がある... 093a掃除は... 093b焦点を... 093c13年...
一語履歴 vol.092
カナヅチ... 092a小が... 092bある幼稚園... 092c水深... 092d平凡な...
一語履歴 vol.091
やめたら... 091a本当の心... 091b土壇場... 091cおいしい酒...
学びこそ 我が俳優業の原点
       津川雅彦(俳優・映画監督)
   
4月29日、春の叙勲で 芸術文化の分野等で功績を上げた人に贈られる
「旭日小綬章」を受章された俳優・津川雅彦氏。

他の追随を許さぬ演技力に定評がある一方で、
あらゆる物事に飽くなき探求心を燃やし続けています。

村上 今日はせっかく津川さんにお越しいただいたので、
   長い役者人生の中で特に印象深い監督さんのお話も
   ぜひ聞かせてください。

津川 一番苦労した監督は、伊丹十三さんです。

あの人は自殺するまでに全部で10本映画を撮って、
僕は一本を除いたすべての作品に出ています。

気に入ってくれたのは、たぶん僕が非常に素直に
彼の言うことを聞いて努力したからでしょう。

僕も監督をやったから分かりますが、
監督からみれば「うい」役者だったんだと思いますね。

何が勉強になったかというと、
めちゃ注文が細かくて多かったことです。

台詞を言う時に息継ぎをするんですが、
「そこでブレスしないでください」と、注文をつけてくる。

元役者だったから攻め方をよく知ってるんですね。

村上 息継ぎをするなと。

津川 台詞を覚える時には、
   息を継ぐ場所も含めて覚えます。

突然息継ぎの場所を変えると、
次の台詞が出てこない副作用が起こるんです。

彼は役者に息継ぎをさせないで、
一気に台詞を言わせてテンポアップしたかったんでしょう。

『スーパーの女』という作品で、
主役の宮本信子と僕がしゃべりながら歩く長いシーンなんですが、
「そこにある空き缶を歩きながら蹴ってください」と言うので蹴ると、
「右足でなく左足で蹴ってください」と言う。

必ず左足で缶を蹴るためには、
歩く歩数にまで神経を使わざるを得ないから、
台詞への神経がどうしても疎かになる。

するとすかさず、「台詞が、微妙に淀みました」とか
「ちょっと歩き方が不自然でしたね」と。

村上 それは大変だ。

津川 それだけではない。

「この空き缶をここへ蹴ってください」と場所まで指定するんです。

僕も切れちゃって

「サッカーの選手じゃあるまいし、
 空き缶を決められた方向に蹴るなんてことはできません」

と文句を言ったら、

「でもその空き缶を左手で拾い上げて、
 机の上のこのキャメラの左手前に置いてもらわないと
 画面がしまらないんですよね」と(笑)。

空き缶が思いどおりの方向に飛ばなければNG。
いいところに飛んだと喜んだ途端、
今度は僕が台詞を詰まらせてしまう。

村上 よく我慢されましたね。

津川 これはもう、どんな注文にもめげず
   台詞を滑らかに言えるように完璧に覚え込むしかありません。

というより、もう臓腑に叩き込むという感覚ですね。

村上 どんな訓練をしましたか。

津川 台詞を繰り返し何百回も言って覚えるには違いないんですが、
   回数をやればいいというものではなくて、
   日数をかけなきゃダメなんです。

寝ては忘れ、起きてはまた覚えなおす。

徐々に忘れる量が少なくなり、
一晩や二晩寝てもワンフレーズも忘れなくなったら、
今度は早口言葉で一気にロレらずしゃべれるようにする。

次に車を運転しながらしゃべってみる。

気は運転のほうに集中しないと危ないですから、
そんな状態でも台詞がちゃんと出てくるかを確かめました。

どんな障害にも気を散らすことなく
言えるようになるまでに14日間かかりましたね。

いまだに2週間前というのが自分の中で定着していて、
そこから始めれば台詞を忘れるという心配は一切なしに、

現場では相手役のセリフのニュアンス、間合い、
テンポ、語気といったことにも神経を集中でき、
それに自由に合わせられるようになった。

これ、伊丹さんのおかげです。

村上 津川さんの演技力の原点はそこにあったのですね。

津川 台詞は芝居の基本ですし、
   覚える作業が一番の苦行です。

やっぱり職業というのは我慢とか忍耐とか苦労とか、
そういうものを乗り越えない限り、
プロの業とはいえないというのは、本当だなと思います。

これからの課題は、いかに芝居をしないですむか。

存在感だけで勝負できるようになれるかなんですが、
まだまだですね。
 
2014.05.09

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