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ある幼稚園の卒業式 卒園式は幼稚園の最大行事であり、毎年3月に一回だけ行うものですが、 平成17年には2回挙行しました。 この年はインフルエンザが大流行し、皆勤賞をもらえるのはT君一人でした。 T君は3年間、雨の日も風の日も、無遅刻、無欠席を続けていたのです。 ところが、卒園式の一週間前にT君のお母さんから電話がかかってきました。 「先生、大変です。うちの子、 インフルエンザになってしまいました。 病院の先生が登園したらダメだって・・・」 式を延期するわけにいかず、結局T君欠席のまま卒園式は挙行されました。 その翌日のことです。 PTA会長さんが「お話があります」と来園され 「私たちの子は無事に卒園させてもらって嬉しかったんですけど、 あれだけ頑張ったT君が式に出られなかったことを思うと可哀想で・・・ 何とかもういっぺん卒園式をやってもらえませんか」 私は一瞬戸惑いましたが、先生たちに話すと即座に 「やりましょう」の声。 私も意を決し、会長さんにその旨を伝えると 「ありがとうございます。 飾りつけも全部私たちでやります。 ただ、このことをT君のお母さんには言わないでください」 実はT君のところは立派なご家庭だったのですが、事情があって家庭内が冷えており、 そんな中、唯一の明るい話題が、T君の無遅刻、無欠席だったのです。 いよいよ修了証書を受け取りに来る日が決まり、 お母さん方はその日の朝早くから会場の飾りつけをし、 花道をつくり、外から見えないように黒いカーテンを張り巡らせます。 卒園児も皆、席に座り、準備は整いました。 10時過ぎにお母さんがT君を連れて登園されました。 担任の先生は「こちらへどうぞ」と、ホールへ案内します。 職員室で修了証書をもらうだけと思われていたお母さんは、 怪訝な顔をしながらホールに向かいました。 そして二人が会場に入ると同時に幕が開き、 割れんばかりの拍手が会場内に響きわたりました。 二人は驚きのあまり棒立ちになり、 次の瞬間、お母さんは声を上げて、泣き崩れました。 迎える親御さんも涙され、2回目の卒園式は終始温かな雰囲気の中、 滞りなく行われました。 後日T君のお母さんから届いた手紙には、 「卒業式はこれから何度も訪れるでしょうが、 ずっとずっと忘れられない息子と私の宝物です」 |
2014.04.18 |
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