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光と闇は私たちの心がつくる 塩沼 亮潤 (慈眼寺住職) 大峯千日回峰行という荒行を、1,300年の歴史の中で、 二人目に満行された塩沼亮潤さん。 千日回峰行を満行した者は、10年目に、9日間飲まず、食べず、寝ず、 横にならずという修行に入ります。これを「四無行」と言います。 行に入ると9日間ずっと辛いか最悪かのどちらかです。 しかし、そこで気持ちが負けていたのでは衰弱するばかり。 攻めの気持ちで行じなければなりません。 「四無」の中で一番きついのは水を飲まないことです。 喉の渇きは口から水分を入れてやらなければ癒えません。 一日一リットルずつ体から水分が抜けていくので 血液がドロドロになっているのでしょう。 座っているだけで脈が90から100、120と上がります。 吐き気がして心臓が飛び出てきそうです。どうやっても治まりません。 水分が人間にとっていかに貴重なものかと改めて気づきました。 自分がここに存在しているだけでも「ありがとう」と、 すべてが感謝の世界に包まれているような9日間でした。 「普段私たちはいかに幸せでしょう。 ご飯も食べることができない人が世界にどれほどいるでしょう。 その苦しみ、痛みからみれば、私の苦しみなんて。 どんなに辛くとも苦しくとも取り乱さず、優しさと大らかさ、 そしてのびのびと清らかなる心で行じれば、必ず護られるのです。」 「たとえ時代が変わっても、お釈迦さまが示してくれた お手本どおりに歩む道こそ御仏に仕える者の定め。 だから行に始まりも終わりもない。ただ無の心」 お釈迦様は2,500年前、波斯匿王というインドの王様に 「人間の生き方は四種類しかない。一つは光から光へ生きていく人間、 次は光から闇へ生きていく人間、三つ目は闇から闇へ生きていく人間、 四つ目は闇を転じて光ある世界へ生きていく人間だ」と言いました。 光と闇は私たちの心がつくるものです。生きていれば、イラっとしたり、 ムッとすることもあるでしょう。けれども、昼があって夜があるように、 この世はすべて陰と陽、よいことも悪いことも半分半分です。 よいことが続くと永遠に続いてほしいと思いますけれども、 辛いこと苦しいことも自分の心を磨く砥石なんだと思えば、 闇を転じて光ある世界に生きていくこともできるのです。 |
2018.03.27 |
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