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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.292

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一語履歴 vol.300
どれだけ 300a影あり 300b父親の役割 300c言葉には
一語履歴 vol.299
魂のお世話 299a英語が 299b寝たきり社長 299cそれはホープ
一語履歴 vol.298
痛いよね 298a結果は 298b耐えるもの 298c鉋くず
一語履歴 vol.297
チームで共有 297a身を捨てる 297b咲くもよし 297c天からの一本の糸
一語履歴 vol.296
一流になるために 296aおいしく 296b長所に 296c与えられた仕事
一語履歴 vol.295
あの人は神様 295aミスにも真摯に 295b光と闇は 295cアンテナが錆び
一語履歴 vol.294
抜いている草も 294aやっておいて 294bクオリティ 294c私ほど
一語履歴 vol.293
自分の心の 293a何を捨てるか 293b人生の五計 293c失敗しない人間は
一語履歴 vol.292
砂を嚙むような 292aマインドを 292b相対感からの 292c可愛がられる
一語履歴 vol.291
必ず用あり 朝は日の出と 291a企業は 291b経験が強烈な
砂を噛むような
         塩沼 亮潤 (慈眼寺住職)

命がけの仏教の修行の一つ「千日回峰行」を成就した慈眼寺住職・塩沼亮潤さん。
その修行とは、往復48キロ、高低差1,300メートルの険しい山道を、
16時間かけて歩く、それを年に120日余り、足掛け9年続けるという、
まさに人間の限界に挑み続けるものです。

39度5分以上の熱があったと思いますが、熱を測る時間もありません。
すぐに滝で身を清め、階段を上ったところで意識がほとんど飛んでいました。
気がつくと、杖も提灯も持たず、編笠も被らず、
両手にたくさんのお水を持って歩いていました。
数100メートル行っては倒れ、数10メートル行っては蹲り、
ぼろぼろになって山頂を目指しました。
 
山道に入ると小さな石に躓きました。両手がふさがっていますので、
ロケットのように体が飛んでいって顔から地面に叩きつけられました。
横たわったまま、永遠に時間が止まってほしいと思いました。
もう一人の自分が「ここで行を終えたら、ここが自分の墓場になるんだな」と思っていました。
 
目をつぶっていると仙台の母と祖母の顔が浮かんできました。
一方に母ちゃん、反対側にばあちゃんの手の温もりを感じました。

中学2年の時に両親が離婚しました。そのあと母はいつも言っていました。
「家にお金はないけれど、一所懸命頑張ってる母ちゃんの後ろ姿、これがおまえに残してやる財産だよ」。
そんな母の頑張りを知っていたから、どんなに辛いこと苦しいことがあっても、
私はエネルギーを得ることができたのです。
 
そのうち頭に浮かぶ映像は昭和62年5月6日の朝のシーンになりました。
出家する朝、母がおいしい大根の味噌汁を作ってくれました。
3人で食べて、いつもならば私が食器を洗うのですけれど、
「きょうはいいから」と母が洗ってくれました。

しばらくするとガチャンと音がしました。「何したの、母ちゃん」と聞くと、
母は「食器を全部捨てた。おまえの帰ってくる場所はもうないと思いなさい。
砂を噛むような苦しい修行をして頑張ってきなさい」と言いました。
 
その時、「砂を噛むような」という言葉が幻聴なのか、
闇の中に響いたような気がしました。
「そうか、俺はまだ砂を噛んだ経験がない。死ぬ前に一度砂を噛んでみよう」。
目の前にある砂を自分の舌で舐めて噛んだところ、正気が戻ってきました。
「こんなところで死んでいられない」という思いが溢れるように湧いてきました。

情熱が息を吹き返して、私は猛烈な勢いで山に向かって走っていました。
走って、走って、走って……。私は天に向かって叫びました。
「私に苦しみを与えるならば、もっと苦しみを与えてください。けれども私はへこたれません」
 片道24キロを走り切り、山頂に到着した時には全身から湯気が出ていました。
山小屋のおじさんが「どうしたんや」と聞いてきました。私は笑顔で答えました。
「ちょっときょう遅れたんで、そこそこ走ったからじゃないですか」。
おじさんは全部分かっていて、「そうか、頑張りや」とだけ言ってくれました。
 
2018.03.01

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