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芸道一筋 正直に真っすぐに 中村小山三(歌舞伎役者) 93歳の現役歌舞伎役者として知られる 中村小山三さん。 4歳で17代目中村勘三郎に入門し、 以来65年余にわたる師弟関係が、 女形・中村小山三を押しも押されぬ 歌舞伎役者へと育て上げました。 ――小山三さんはどのようにして芸を磨いてこられたのですか。 芸を磨くには 観察することがものすごく大事。 でもいまは時代が変わったから難しくなりました。 例えば日本髪なんかでも昔は街を歩いていれば 勉強になることがたくさんあったけど、 いまは髪を結う人なんかいないでしょう。 もちろん芝居の最中にも、 いいなと思う人の芝居は横目で見ながら捉えていました。 「芸を盗む」っていう言葉があるけど、 ぼーっとしてちゃダメで、 神経を使って細かいところまで見ることで、 ようやく分かってくるものだと思うんです。 師匠からはいつも、 「勉強しなきゃダメだよ。 芝居をよく見て、覚えておくんだよ」 とうるさいくらいに言われたものです。 だからこっちも自然と、 「勉強しなくちゃいけない。 芝居を見なくちゃいけない」 ってなるでしょう。 実際に昔の役者さんは、 例えば『忠臣蔵』で幹部俳優が突然病気で 休むようなことがあっても、 すぐに代わりができました。 普段から芝居の見方が違うのね。 師匠なんか『忠臣蔵』の ほとんどの役をやっているはずよ。 それに昔の役者さんはみんな腹があったけど、 いまは腹がないのもいるんですよ。 ――腹がない。 つまり気持ちがないってこと。 腹がある芝居をするには、 その役になりきればいいんですよ。 うまくやろうと思わなくてもいいってことは 若い時分に教わりました。 女中なら女中の腹でやれとか、 腰元なら腰元。 ただしそれぞれ仕草が違うんだから、 そこはしっかり勉強をしなきゃ。 私は役についてはものすごく熱心に研究しましたから、 ある時先生が私の役どころの中で 特にこれはというものを十種類選んで 「小山三十種」と名づけてくださったんですよ。 『四谷怪談』のおいろや、『籠釣花瓶花街酔醒』のお咲、 『文七元結』の女郎吉野、『一本刀土俵入』の酌婦お松とかね。 どれも自分なりに工夫したものばかりよ。 |
2014.08.16 |
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