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人間関係の力を伸ばす秘訣 高濱正伸(花まる学習会代表) 東京都や埼玉県を中心に 1都5県で100か所以上展開している 学習塾「花まる学習会」。 他の学習塾とは一線を画す独自の教育法がいま全国から熱い視線を送られています。 立ち上げから21年目を迎え、4歳から15歳の全生徒数は約1万7千人。 ――高濱代表が目指す教育とはどこにあるのでしょうか。 僕が育てたいのは、どんな時代でも 飯を食っていける大人なんです。 そしてそのためには 10歳までが勝負だと考えています。 ――10歳までで決まると。 お母さん方から中学や高校の受験枠も つくってほしいという要望があって そういったクラスもつくりましたが、 一番力を入れているのは人間の土台づくりですね。 もちろん、10歳を超えたらダメだというわけではないのですが、 いろいろな年代の子供たちを教えてきた経験上、 空間認識力とかイメージ力などがダイナミックに伸びるのは 小学校3年生くらいまでかなというのが分かるんですよ。 ですからうちでは知識偏重ではなくて、 子供たちが主体的に考える力を伸ばす教育に 力を入れているんです。 例えば、僕が考案したゲームやクイズなどを 算数の指導に取り入れているのですが、 子供たちに求めるのは、本当に納得いくまで食い下がり、 自分で解くことにこだわる「しつこさ」ですね。 計算問題を速く正確にこなす訓練をするよりも よっぽど「学力」が身につきますよ。 ―― 一般の塾とは一線を画しているわけですね。 もう一つは人間関係の力を育てることです。 ベースにあるのはお母さんの愛情ですが、 それだけでは足りません。 ところがいまの学校は子供たちの間に トラブルが起きないようにという事なかれ主義で動いているでしょう。 成功体験はもちろん大事ですけど、 苦い体験も子供が自立する上では ものすごく大切になってくるんですよ。 これはバランスの問題ですね。 そういうものを乗り越えて、みんなといると楽しい、 友達と喧嘩しても大丈夫というように 社会に対する自信、自分自身に対する自信を持たせてあげる、 つまり人間の芯をつくってあげることが大事なんです。 そしてその実践の場が野外体験です。 ――具体的にどのようなことをしているのですか。 例えばサマースクールでは川遊びや魚つかみ、 虫獲り、夜の探検、そして滝壺への飛び込みなど、 とにかく思いきり遊ばせます。 親元を離れて、大自然の中で過ごさせることの意義は 語り尽くせませんね。 いろんなことを工夫するようになるので知力が伸びると同時に、 危険を感知する力も磨かれますが、 やはり一番伸びるのは人間関係の力ですね。 野外体験を受け付ける際には グループでの申し込みはできないようにしているため、 メンバーは全員初対面で学年もバラバラです。 それからお母さんたちには、 予めトラブルが起こることを前提で 子供を参加させてくださいと必ず伝えています。 ――親御さんに予め了解をとっておく。 僕は子供たちを逞しく育てたいと思っているんです。 だからトラブルがあって当然で、 子供が泣いて帰ってくることだってある。 時には怪我をすることもありますが、 そういった体験はすべて子供たちにとって貴重な財産になるんですよ。 親もこちらが真剣であれば、 絶対に分かってくれます。 実際、これまでいろいろなトラブルが ありましたけどクレームはゼロ。 何かあればもちろんご家庭に謝りに行くのですが、 「いいんですよ。 うちの子にはそういう体験も必要なんですよ」 というように、逆にお母さんに感謝されるんです(笑)。 ――親御さんとの間にしっかりとした信頼関係ができていると。 昔の学校はそれが普通だったと思うのですが、 いまは子供に何かあれば親がすぐに怒鳴り込んでくるようになったから、 学校は敢えてリスクを冒すようなことはしません。 しかし、これは絶対に変えていかなければ という思いが僕にはずっとあるんです。 |
2014.07.09 |
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