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徳を以て徳に報いる~報徳思想とは~ 岩越豊雄(寺子屋石塾主宰) 江戸時代後期、600以上の荒廃した農村を 復興させたことで知られる二宮尊徳(金次郎)。 その思想は現代のビジネスや人生にも広く通じています。 二宮尊徳ゆかりの小田原の地で 寺子屋石塾を主宰し、 子どもたちに『論語』を指導する 岩越豊雄さん 「報徳」という二宮尊徳の教えの由来も『論語』にあります。 『論語』憲問篇36にこうあります。 或(あ)る人曰(いわ)く、徳を以て怨みに報いば如何(いかん)と。 子曰く、何を以てか徳に報いん。 直を以て怨みに報い、徳を以て徳に報いんと。 (ある人が言った。怨みを怨みで返すのではなく、 怨みを徳で返すということはいかがでしょうか。 先生がおっしゃった。 では、人から徳を受けた時に、どう返すのか。 怨みには真っすぐな心で返し、 人から受けた徳は徳で返すということだ) この場合「徳」とは恩徳のことです。 二宮尊徳の「報徳」の精神は、 この章の「徳を以て徳に報いる」という言葉からきています。 荒廃した桜町の復興も順調に進みだした頃、 尊徳を抜擢した小田原藩の名君・大久保忠真公が老中首座になり、 将軍家斉の代参で日光東照宮に参詣します。 その帰り道、結城で尊徳と面会します。 殿様から桜町の復興について尋ねられた時、 尊徳は 「荒地には荒地の力があります。 荒地は荒地の力で起こし返しました。 人にもそれぞれ、よさや取り得があります。 それを生かして村を起こしました」 と答えたといいます。 それに対して忠真公が 「それは『論語』にある、 『徳を以て徳に報いる』、あれだな」 と言われたと伝えられています。 尊徳はその言葉に感激し 「報徳思想」を練り上げたといわれています。 『報徳訓』には、 父母の根元は天地の令命に在り 身体の根元は父母の生育に在り 子孫の相続は夫婦の丹精に在り 父母の富貴は祖先の勤功に在り 吾身の富貴は父母の積善に在り 子孫の富貴は自己の勤労に在り 身命の長養は衣食住の三つに在り 衣食住の三つは田畑山林に在り 田畑山林は人民の勤耕に在り 今年の衣食は昨年の産業に在り 来年の衣食は今年の艱難に在り 年々歳々報徳を忘るべからず とあります。 天地、祖先、父母、自分、子孫と 連綿と続く命の繋がりへの恩徳に報いること、 また、大自然の恩徳にも報いることが述べられています。 『論語』の人から受けた恩徳が、 『報徳訓』では人の根元的な生命ということから、 命の繋がりや大自然の恩徳に拡大され、 勤労によってそれに報いることを教えています。 その報徳の実践方法の一つに、 積小為大という教えがあります。 |
2014.08.03 |
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