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ルイス・フロイスの『日本史』 川崎 桃太(言語学者) 織田信長や豊臣秀吉など戦国武将たちの人物像や 当時の世相が克明に描かれた『日本史』。 実はこれ、ポルトガル人宣教師ルイス・フロイスによるものです。 長いこと海外に眠っていたこの貴重な資料と、運命的な出合いを 果たした101歳の言語学者・川崎桃太さん。 ──先生は昨年、100歳にして 『フロイスとの旅を終えて今想うこと』 という本を出版しておられますね。 この本は2年がかりで ようやく書き上げたんです。 私にとってポルトガル人宣教師 ルイス・フロイスとの出会いは、 その著書『日本史』を目にした 五十九歳の時に遡ります。 それから既に40年以上が経ちますが、 その間に『日本史』の 日本語翻訳に携わったり、 『日本史』のダイジェスト版 なども出してきました。 ──フロイスの書いた『日本史』には、 どのようなことが 書かれているのでしょうか。 これは16世紀の日本、 つまり戦国時代にイエズス会から 派遣された宣教師フロイスが、 布教の途上で出会った 人物や出来事などを記録したもので、 資料的にとても価値があるものです。 なぜなら歴史というのは、 往々にして勝者によって 記録が残されるので、 例えば伝記が書かれるにしても 自分の不名誉になることや一族が 不利になるようなことは絶対に書きません。 ですからどうしても 歴史の歪曲がなされてしまう。 そこにくるとフロイスは文才に恵まれ、 なおかつその鋭い観察眼で 客観的に戦国時代の日本を 書き残しているんです。 つまり先入観のない外国人が、 見たままのことを克明に 記録してくれているので、 信憑性の非常に高い証言録 だといってもよいでしょう。 本当によくここまで詳しく 書いたなと感心するくらいの内容で、 織田信長や豊臣秀吉をはじめ 当時の武将たちの人物像や 当時の世相が描かれており、 おそらく大概の歴史家はこの 『日本史』を参考にしてきたでしょうね。 ──それだけ貴重な資料が、 長い間眠っていたわけですか。 私がフロイスの『日本史』 を見つけたのは、ポルトガルの 首都リスボンにいた時のことです。 いま思い返しても本当に不思議な体験で、 見えざる手に導かれるようにして 『日本史』に出合えたとしか 思えないんですよ。 私事 先日、知り合いより、 このフロイスの『日本史』全巻を頂戴しました。 私個人での所有はもったいないので、 茨城県日立市の明秀学園日立高等学校の図書館に寄贈しました。 |
2016.05.17 |
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