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向上心を掻き立てるもの 奥村幸治 (NPO法人ベースボールスピリッツ理事長) 現在42歳にして現役のメジャーリーガーと言えば、イチロー選手です。 「どうしたらそれだけたくさんの ヒットを打てるのですか」 という、野球少年の無邪気な質問に真剣に答えるイチロー選手の言葉の中に、 一流選手として成功し続けるためのヒントが隠されています。 一流の選手を目指す上で、 素質があることにこしたことはないが、 それがすべてではない。 おそらくイチロー選手には 生まれながらの素質があったのだろうが、 それ以上に彼にはいま自分にとって 何が一番必要なのかということを 追い求める探究心と、負けたくない、 少しでも上を目指したい という強い気持ちがあった。 同時に、成功していく人というのは、 多くの失敗を経験している人だともいえる。 イチロー選手は日米通算4,000本安打を 達成した時の記者会見で 次のように話している。 「4,000本のヒットを打つために 8,000回以上は悔しい 思いをしてきている。 その苦しみと自分なりに 向き合ってきた。 誇れるとしたら そこじゃないかと思います」 と。 どれだけ失敗しようとも、 その苦しみを乗り越えるたびに 人の心は強くなっていく。 そしてその積み重ねが、 より高い壁を乗り越えていく 大きな力になっていくのだろう。 ではなぜイチロー選手は その苦しみを乗り越えることが できたのだろうか。 そのヒントとなるのが、 ある野球教室で少年野球の 選手から受けた 「どうしたらそれだけたくさんの ヒットを打てるのですか」 という質問への答えの 中にあるように思う。 イチロー選手は戸惑いながらも、 「大人になった私たちが、 子供の頃のように野球がしたい、 ヒットを打ちたい、少しでも うまくなりたいという思いを キープすることができたら ずっと向上し続けることができます」 と答えている。 さらに彼はこうも言った。 「僕は他のメジャーリーガーの 誰よりもヒットが打ちたい、 うまくなりたいという気持ちを 保ち続けることができると思います」 と。 誰よりも野球が好きで、 一分一秒でも長く野球を やっていたいと無邪気に語る イチロー選手の心の様相にこそ、 彼が成功し続けているヒントが 隠されているのではないかと思う。 |
2016.03.15 |
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