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作曲家の意図を掴む 山田 あつし(指揮者) 村上 和雄(筑波大学名誉教授) ニューヨーク・シティ・オペラで正指揮者を長年務めるなど、 世界を舞台に活躍してきたプロ指揮者・山田あつしさん。 現在は音楽を通じて、与えられた自分の役割を果たそうと、被災地支援にも 取り組み続けています。 【山田】 高校生たちに音楽の話もするわけですが、 よく言うのが、指揮者というのは再現芸術家と 呼ばれているんだよってことですね。 つまり、作曲家の思い描いたことを、 お客様に再現する芸術家ということです。 IT世代になるともうラブレターなんて書かないでしょうけど、 僕らの世代くらいだとまだ書いてたわけですよ。 先生だって、いっぱい書いてる、絶対(笑)。 【村上】 (笑)。 【山田】 でも、いくら「愛している」って書いても、 それだけじゃ全然足りませんよね。 同じように五線譜にはたくさんのことが書き込まれているけど、 やっぱりそれだけじゃ足りない。楽譜の一番の欠点は、 その瞬間その瞬間の音楽の状態しか表されていないことにあるんです。 それだけに指揮者として楽譜に書かれていることは、 最低限、全部勉強しなきゃいけないんだけど、 それだけじゃなくて、その先に 「この作曲家は何を書きたかったんだろうな」 っていうことも考える。もちろん、 そこにはこれが正しいという正解はないんです。 それに指揮者を作曲家のメッセンジャーだと考えると、 僕が営業でやっていたように、 「コンピュータが、いかにいいか」 「この保険が、いかにあなたにいいか」 ってことを伝えることと全く同じなんです。 だからこそ、指揮者としては作曲家の意図を掴む上で、 妥協があっちゃいけないと僕は思う。 もっと言えば、その作曲家が当時どういう生活をしていて、 どこでどういうふうに書いたかくらいのことまで知らないと、 本当の意味で曲には入っていけません。 【村上】 そこまで深く掘り下げる。 【山田】 僕は指揮者の仕事って、 どこか考証学みたいな要素があると思うんです。 だから、「この楽譜が分かる」なんてことは言えなくて、 こればっかりは、ずっと分からない。 それでも、作曲家の想いをひたすら 追究し続けることが指揮者の仕事であって、 それをやめたらお客さんには何も伝わらないと思うんです。 【村上】 それが山田さんのプロの指揮者としての矜持ですね。 |
2018.12.25 |
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