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大いなる希望への出発点 『何のために生きるのか』(五木寛之/稲盛和夫・著) 【五木】 稲盛さんのお話をうかがっていて羨ましいなと思うのは、 ネガティブにネガティブに考えていたのを ポジティブな考えで取り組むようになったら 光が差しはじめたとおっしゃったことです。 僕はいまもずっとネガティブな考えを引っぱっていて、 「あのころと比べたら……」と考えてしまうわけですから。 【稲盛】 五木さんがそうおっしゃったので正直に申し上げますが、 根底にある宗教観とか哲学観は非常に似通っていて 共鳴する部分が多々あるのですけれども、 いまもお話にあったネガティブという点にだけは、 五木さんとは考え方が違うなと思ったんですね。 私はだんだん年がいくに従って、ますますポジティブに 明るく感謝して、という生き方になってきました。 一切ネガティブなことを考えまい、と。 それはネガティブなこころがネガティブなものを 呼び込むと考えるからなんです。 だからそのネガティブな見方があるのが気になっていました。 ですが、いまお話をうかがっていると、私とは比べものに ならないくらい苦労された体験が原点にあるわけですね。 私の苦労など大したことではないなと感じました。 【五木】 ですから、ネガティブな考え、ポジティブな考えというけども、 上っ面の明るさだけではだめなんですね。 むしろ絶望のどん底、真っ暗闇のどん底まで落ちてしまって、 そこからドーンと足を突いて飛び上がらないことには 光のほうに行けない。温室栽培の、24時間人工の光線に 照らされているところにて、そこに一条の光が雲間から 射してきたとしても、それを光明と感じて感激することはありません。 真っ暗闇のなかで、爪から血が滲むようにして希望を探している。 そこへ窓から一筋の光が射してくるから、 それを光明と感じて、人は感動するのです。 このことを考えると、暗闇のなかで光に合うということが 大事なんだと思います。ですから、僕の言うネガティブというのは、 大いなる希望への出発点なんです。 |
2018.01.08 |
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