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感謝の心を育てる 日本のこころの教育』(境野勝悟・著) 幸福とは何ですか。何のことはない、 感謝して生きていることができる人間が幸福だったんです。 いくら金があったって、いくら物があったって、 いくら地位があったって、ちっとも感謝できない人は、 幸福になることはできない。 逆に物質的にいくら不自由をしても、 ありがとうという感謝の気持ちがあれば、 けっこう幸福になるものなんですよ、楽しくなるものなんですよ。 そういう気持ちもすごく大事だと思うんだな。 感謝したところで、太陽さんはべつに喜びやしませんよ。 感謝して得をするのは、実は君ひとりであるということを、 どうか忘れないでほしんです。 幸福になるか不幸になるか、自分が伸びるか伸びないかは、 諸君の心一つなんだ。他人じゃないんだ。 生きている自分をどのように大きくとらえ、 いま自分が生きていることに感謝できるかどうか、これ一つです。 わたくしがここで感謝する心が、きみを伸ばし、 きみを大きく育てていくだろう、といっているその感謝の対象は、 きみを生かしめているところの人間共通の 生命の「エネルギー」に対してなのですよ。 それは、けっして、単にきみだけの生命の原因の力ではない。 きみの友だち全部、いや生きとし生けるもの全部の生命の原因なのです。 地球に存在する全部の生命は、みな、 この恵みによって生きている。 そういう、大きい生命の元について、きみが心から感謝することによって、 自分が人間であると当時に、大自然の子であるという自覚に至るのです。 この自覚こそが、きみを伸ばし、きみをもっと大きく育てるであろうと、 わたくしは言っているのです。 自分の人生を充実させていくのは、親でもないし、 先生でもないし、環境でもないように思います。 きみたち自身が感謝する心を持てるかどうかだと思うのです。 感謝する大自然を持つためには、自分で考えて発見しなきゃだめ。 それは、人が教えてくれるものではない。 自分でありがたいと思うものを、大自然の中に発見していくことなんです。 このみんなの共通の生命、みんな共通の恵みに対して、 感謝の心を育てることが、 実はわたくしたちの民族の「心の教育」だったんです。 |
2018.01.05 |
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