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言霊の幸わう国 千 玄室(茶道裏千家前家元) 歌や詩は「ポエム」という言葉でいい表されるが、 ポエムの語源は古代ギリシア語の「ポイエーシス」で、 それは「何かを表す」というような意味だと知った。 自然的な現象や心のよりどころなどを、 言の葉で端的に表現するのだ。 万葉の歌には、込められた不思議な言の葉いわば「言霊」がある。 柿本人麻呂がよりその言霊を意識していたようで、 その作品は 「しき島の大和の国は言霊の幸はふ国ぞま幸くありこそ」 「言霊の八十の衢に夕占問う占正に告る妹はあひ寄らむ」 など「霊の」という「たま」が何かを動かしており、 そしてその「たま」は 幸わうとか幸を招くということに通じているのではあるまいか。 万葉の歌々には、 その時代のさまざまな事象が時の生活に結びついて詠まれている。 奈良時代の律令制度の確立によって国づくりができ、 仏教そして神道の精神性が人々の心を動かし、 その訴えを歌に託したのであろう。 いわば歌とは安穏感をもたらすものであったと思われるのである。 日本人が古来、大切にしてきたのが言霊である。 先人の心に思いを馳せ、 現代に生きる私たちもいま一度、 言霊の幸わう国に生を受けた意義を考える時ではなかろうか。 |
2018.01.02 |
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