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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.134

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一語履歴 vol.136
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一語履歴 vol.134
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一語履歴 vol.133
男なら 133a価値はない 133bハタケヤマ 133c発展は幸福を
一語履歴 vol.132
アイデアに 132a人は何のために 132b違う見方 ~昨日はもっと大事
一語履歴 vol.131
迷ったときは 131a親に感謝 131bどん底家族 131c組織はそこに
煩悩するなかれ
         横田南嶺(円覚寺管長)

日本が直面した最初の国難・元寇。
鎌倉時代後期、2度にわたって元の大軍が
日本に攻め寄せ、対馬、壱岐を占拠、博多に上陸しました。
その国難の際、日本を率いていたのは 時の執権・北条時宗、24歳です。
若き大将の迷いを吹き払った 無学祖元(むがくそげん)の一言。
       
時の執権は北条時宗公、24歳でした。

2万、一説では4万とも言われる
海外の軍隊が一気に押し寄せてくるわけですから、
危機感は尋常ではなかったはずです。

一国の指導者として孤独感と、
元軍が再び襲来するのではないかという
強い恐怖感に襲われても不思議ではありません。

ところが、時宗公はいささかも動じる様子がなく、
泰然としていました。

時宗公の父・時頼公は南宋から
名僧・蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)禅師を招いて建長寺を開山し、
自らも禅の修行をした人物です。

息子の時宗公もまた道隆禅師に就いて禅に打ち込むわけですが、
このように総じて当時の指導者たちは身を修めることに
骨惜しみしませんでした。

地震や飢饉、疫病など社会の様々な困難に対処するには、
まず指導者自らが修養に励み、腹を錬らなくてはいけない
という自負心があったのです。

蒙古襲来の報に接しながら、
時宗公が動揺しなかったのもそのためかもしれません。

道隆禅師が示寂(じじゃく/亡くなること)された後、
時宗公は優れた禅の指導者を求めて僧二2人を南宋に遣わします。

その時、白羽の矢が立ったのが
仏光国師こと無学祖元禅師でした。

1279年、54歳という当時では老境の身でありながら
厳しい航海を経て来朝、建長寺の住持に就任されるのです。

弘安の役が起きたのは、その2年後のことでした。

この時、日本に襲来した元軍の数は14万。
文永の役の時の実に5倍ですから、
これほど恐ろしいことはありません。

この国難にどう対処すべきか、時宗は考え続けます。

助言を求める時宗公の質問に答える
祖元禅師のやりとりを記した『元亨釈書』の
有名な次の一文があります。


弘安四年の春正月、平帥(時宗公)来たり謁す。
元(祖元禅師)、筆を采り書して
帥に呈して曰く、「莫煩悩(まくぼんのう)」。

帥曰く「莫煩悩とは何事ぞ」。

元曰く、

「春夏の間、博多擾騒(じょうそう)せん。
 而れども、一風纔(わずか)に起こって万艦掃蕩(そうとう)せん。
 願わくは公、慮りを為さざれ」。

果たして海虜(かいりょ)百万鎮西(ちんぜい)に寇す。
風浪俄(にわか)に来たって一時に破没す。


南宋の人である祖元禅師は日本語が話せないので、
筆を執り「莫煩悩(煩悩するなかれ)」と揮毫します。

そしてこう続けられるのです。

「春夏の間に博多で大きな戦があるでしょう。
 しかし、風や波が起こって元の船はいなくなるはずです。
 時宗公、どうかご心配なさらぬように」と。

その言葉どおり、風浪が起きて
元の大軍はたちまち西の海に沈んでしまうのです。

ここでいう「莫煩悩」とは「心配することはありません」と
訳すのがよろしいかと思います。

決して楽観的になれというのではなく、
何があってもぐらつかない腹の据わった将のあり方を、
この三文字で諭されたのです。
 
2015.03.30

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