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数々の世界基準をつくるなど 肝臓外科の分野を長年 牽引してこられた幕内雅敏さん。 いかにして新しいアイデアを 生み出されたのでしょうか? 幕内 雅敏(外科医) ──幕内先生はどのようにして 新しい手術法を次々と 編み出されたのでしょうか。 それはもう、手術のことを しょっちゅう考えるってことですよ。 それしかない。 どのくらいよく考えるかっていうと、 何か壁にぶつかった時なんかは 病院にいる時だけじゃなくて、 常に考えなくちゃいけない。 例えば、この年にもなると 「幕内先生もだいぶ呆けたな」 って言われるだけだろうけど、 僕は三十代、四十代の頃からよく 電車を乗り過ごしていたんですよ。 激しい時なんかは、戻ろうとして また乗り過ごしていた(笑)。 ──それほど集中して 考えられていたわけですね。 要は周りの情景なんて ほとんど気にしないくらい、 どうしたらいいだろうかって、 ひたすら考えているわけ。 それくらい頭を使っていると、 ある日、漫画にあるように パチッと電気が光る。 あとはそのアイデアを検証して、 実際に手術で活かしていく。 だから優れた外科医になるためには、 しょっちゅう手術のことを 考えるっていうのが一番大事かな。 もちろん、先ほど言ったように、 頭の中に臓器の立体構造が クリアな画像として 入っていることも当然求められる。 ただ、いま挙げたことはどれも 決して特別なことじゃないと思う。 人間には持って生まれた 能力の差なんていうのはなくて、 努力ができるかできないか っていうところで差が 生まれるんじゃないのかな。 しょっちゅう考えて いられるかどうかだって同じだよね。 要はどれだけバカに なってやれるかどうか。 特に若い医者にはそこを 掴んでほしいですね。 |
2017/05/29 |
千年に及ぶ中国の歴史を編纂した 『資治通鑑』という書物があります。 著者の司馬光は政治について 興味深いことを言っています。 荒井 桂(郷学研修所所長) 教化は国家の急務なり。 而るに俗吏は之を慢る。 風俗は天下の大事なり。 而るに庸君は之を忽せにす。 夫れ唯だ明智の君子のみ深く識り 長く慮り、 然る後その益の大にして 功を収むることの遠きを知るなり。 (教化は国家の政治の中で 最優先・最重要視せねばならぬ 事項である。 国の民の風俗がどうなっているかは 天下の大事である。 ところが、 凡庸な君主はこれを軽視する。 ただ明智の君臣のみが 教化と風俗との意義を深く認識し、 永く配慮を続けて、 しかるのちに、 その結果のいかに大きく、 いかに後世にまで影響するかを 知るのである) この「論賛」は、西暦一世紀、 王莽を破り後漢を創始した 光武帝の偉業を受けてのものです。 光武帝は前漢末の 群雄割拠の世の中にあって、 反乱軍を抑えて 戦いに暇がなかった にもかかわらず、 「古典を尊重し、 学者・人物を賓師として招き、 教化の中核として学校を開き広め、 教化・風俗の根幹となる礼楽を修め、 明らかにしようとした。 その結果、再興成った後漢では、 武力による天下平定とともに 文徳も天下に行き渡った」 と司馬光は述べています。 さらに、光武帝に続く明帝や章帝も 学問・道徳を修めた者を登用し、 その結果、立派な人物は 高官から一般庶民にまで敬慕され、 劣悪な人物は 郷里でも棄てられるように なったことに言及。 後漢が滅亡して三国時代に入った後、 魏の曹操が自ら皇帝に なろうとしなかったのも 光武帝の確立した 名分を慕っていたからだ と論じています。 つまり、後漢の文教政策が いかに後の世まで 大きな影響を及ぼしたかを 強調しているのです。 |
2017/05/28 |
禅を世界に広めた 宗教学者鈴木大拙氏。 90を過ぎた大拙は 松ヶ岡文庫に住んでいた。 そこに行くには130の石段を上る。 90を越えて大変でしょう という人に、大拙は 「一歩一歩上がれば何でもないぞ」 と答えた、という。 一歩一歩努力すれば いつの間にか上がるものだぞ、と。 ノーベル賞受賞者の大村智さんは、 その講話を松原泰道先生の 言葉で締め括られた。 「よき人生は日々の丹精にある」 |
2017/05/25 |
現役時代から「走る哲学」と 呼ばれていたという為末大さん。 為末 大(元陸上選手) × 村上 和雄(上智大学名誉教授) 【為末】 特に興味を持っているのは、 マインドセット、簡単に言えば 人の思い込みとか常識のことですけど、 これが変わる瞬間です。 例えば、義足を履いた 幅跳びの選手がいるんですけど、 その選手は8メートル40センチも 飛ぶんですよ。 健常者とほとんど変わらない 記録になってきていて、 いずれ抜いてしまうと思うんです。 そうした人間と道具との 融合が当たり前になったら、 世の中の常識やこれまで 人が抱いてきた思い込みも 大きく変わる気がするものですから、 そんな新しい世界を、 こういう施設を使いながら ちょっと覗いてみたいんです。 【村上】 ご自身で競技をなさっている頃から、 そういう問題意識を 育まれてきたのでしょうね。 【為末】 陸上選手というのは 特にそうだと思うんですが、 僕は現役の頃から、 自分は本当はどこまでいけるのだろう、 自分の限界を決めるのは 何だろうといつも考えていました。 たぶん思い込みによって 自分の能力にブレーキを かけている部分が 大きいと思うんですが、 その思い込みが競技で 揺さぶられる度に外れて、 成績に結びつくことが多かったんです。 先ほど申し上げたマインドセット、 つまり思い込みとか、常識とか、 自分が自分に貼っている レッテルに人間がすごく 影響されているんじゃないか というのを現役の時に感じていました。 |
2017/05/23 |
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