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復興への視点 村井 嘉浩(宮城県知事) 鍵山秀三郎(イエローハット創業者) 東日本大震災の大試練に県政の長として立ち向かった村井宮城県知事 【村井】 私自身は今回の震災に際して 心に決めていたことがあります。 こうした非常時には、 大変ストレスが たまるものですけれども、 私は県のトップとして、 自分のマイナスの感情を 絶対に外に出さないようにしようと 決めておりました。 辛くて涙が出そうになる場面が 何度もありましたけれども、 私が高ぶった感情を そのまま外に出してしまうと、 組織が混乱してしまいます。 【鍵山】 それは上に立つ者の 基本的な心構えとして とても大切なことですね。 【村井】 私が防衛大学校にいた時の 校長先生が土田國保先生 という元警視総監の方でした。 土田先生は警視庁の 警務部長をされていた時、 贈り物を装って 自宅に送られてきた爆発物によって 奥様が亡くなり、 息子さんも大怪我を されたことがあるんです。 土田先生が朝礼で部下から その報告を受けた時のお話を なさったことがあるのですが、 私はそのお話がとても 印象に残っているのです。 【鍵山】 その事件のことは私も覚えています。 土田先生はどんなお話をされたのですか。 【村井】 土田先生は、 「君たちはいずれ、 下や家族の突然の死というものに 直面する機会があるかもしれない。 また有事の際は自分の組織が 全滅することもあるかもしれない。 その時に指揮官は 絶対にうろたえてはいけない」 と前置きをされて、 ご自身のご家族が 事件に巻き込まれた時のことを このように話されました。 「自分がその報告を受けた時、 正直、足がガクガクと震えた。 しかしここで自分が 震えているところを見せたり、 うろたえたり、涙を流したりしていると、 部下がどう対応をしていいのか 分からなくなってしまう。 だから自分はその時、 お尻の穴をくっと締め、 下腹にぎゅっと力を入れて、 大きく深呼吸をした。 そしてすっと立ち上がって、 これからどう捜査を 進めるか指示を出した。 いざという時の参考にしてほしい」 と。お話を伺いながら 私もお尻の穴をくっと締めて、 下腹に力を入れ、 大きく深呼吸をしたことを いまでもよく覚えています。 【鍵山】 それは大変貴重な教訓ですね。 【村井】 今回の震災では何度か そういう厳しい場面に直面しました。 その度に先生のお話を思い起こして 実践したのですが、 不思議と心が落ち着いて 冷静に対処できたんです。 |
2017.03.10 |
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