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『碧巌録』の言葉 平尾 隆行(人財創研代表) 現実に起こっていないことに 悩まされるなという意味の禅語に、 「莫妄想(まうもうそう)」というのがある。 鎌倉幕府の執権・北条時宗が 元の襲来に心を悩ませていた時に、 無学祖元(むがくそげん)が投げ掛けた 言葉として知られている。 あれこれ悩むよりもなすべきことをなせ、 という決意を促す言葉といえるだろう。 悩みを持つ人は多い。 ビジネスリーダーとて何かを 決断する上で悩みはつきものだ。 しかし、くよくよと悩む だけでは物事は前進しない。 特に、これをすればあの人に 後ろ指を指されるかもしれない などと考え始めたら、 一歩も動けなくなってしまう。 そうではなく、自分が心の底から 「これでいこう」と 思ったことを実行に移す。 その際に行動を促してくれるの が「莫妄想」なのだ。 「白馬蘆花(ろか)に入る」 という禅語もある。 群生する葦の花は、 高さが2、3メートルにもなる。 その中に白馬が入っていくと 見分けがつかなくなるが、 やはり葦の花と白馬は異なる。 つまり、よくよく見れば真実が 見えてくるということを指す。 葦の花の中に白馬が 分け入っていくように、 会社組織に新入社員が入ってくる。 ビジネスリーダーとしては、 全体的な特徴を捉えることも大事だが、 それだけではなく個人個人の 違いを見極めることも必要だ。 「白馬蘆花に入る」とは そんな戒めとなる言葉である。 |
2016.06.23 |
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