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新しいまちづくり構想 久野 譜也(筑波大学大学院教授) 村上 和雄(筑波大学名誉教授) 中心市街地に車を入れない政策を実施し、世界から注目されている都市がある 逆転の発想で住民たちを健康にしてしまう取り組みとは? 【久野】 実はヒントが、 当時たまたま読んでいた 雑誌に出ていたんですよ。 そこには東京、大阪、愛知に 住む人たちの主な移動手段が出ていて、 その中で車がメインというのが、 東京35パーセント、大阪45パーセント、 愛知75パーセントとなっていました。 そして、その数字に比例して 糖尿病患者の数も決まるというのです。 つまり愛知が多くて逆に東京は少ないと。 確かに自動車依存の弊害は 昔から言われていましたが、ここまで 綺麗に比例するものかと驚きました。 そうなると都市環境が人の健康に 一定の影響を与えるわけですから、 いくら一所懸命健康教育を 広めようとしても、不健康になりやすい 「まち」をそのままにしていたら、 何も変わらないことに気づいたんです。 つまり、まちそのものを 変えなければいけないという 発想をこの時初めて持ったんですよ。 【村上】 具体的にはどういう 取り組みをしているのですか。 【久野】 なぜ東京の人たちが健康かというと、 決して健康教育が行き届いている というわけではなく、車よりも電車で 移動したほうが安いし時間も確実だから ということが見えてきました。 ですから結果的に歩かされてしまう まちづくりを目指そうと。 我われがよく例に出すのは、 ドイツのフライブルクという都市で、 ここは45年前から中心市街地に 車を入れない政策をしているんです。 最初は商店街を中心に 猛反対だったようですが、 蓋を開けてみれば売り上げは 3倍以上に伸びたそうで、 いまは市街地に公共交通と 市内電車を入れたことで ものすごい賑わいだそうですよ。 しかも周辺住民の医療費も安い というデータも出てきています。 考えさせられます。 |
2016.05.28 |
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