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八木重吉の詩 鈴木 秀子(国際コミュニオン学会名誉会長) 信仰に生きた八木重吉の詩は、美しい自然描写の中に 人間の本質を見事に捉えているところにあります。 八木重吉の詩の一つの特徴は、 自然描写の美しさと、 その本質を捉える洞察眼にあります。 心を開いて 自然と一体となった時の 幸福感、躍動感が 多くの素晴らしい詩を生み出しました。 蟲 蟲が鳴いてる いま ないておかなければ もう駄目だというふうに鳴いてる しぜんと 涙をさそはれる 誰かに見てもらおうとか、 褒められようとか、 そんなことを少しも考えずに 精いっぱい鳴いている虫の姿を、 重吉は人間の姿と重ね合わせました。 何かに無心、真剣に 打ち込んでいる人の姿に接した時、 「生きるとはこういうことなのか」 と誰もが目を覚まされ 深い感銘を受けます。 そして、その一途な姿は 自然と涙を誘います。 人は悲しい時、苦しい時に 涙を流すものですが、 さらに深いところから溢れ出るもの。 それが感動の涙なのです。 秋のひかり ひかりがこぼれてくる 秋のひかりは地におちてひろがる このひかりのなかで遊ぼう この詩に書かれた「ひかり」とは、 “幸せ発信地”の人たちのことと 考えたらいいでしょう。 「秋のひかり」のような 温もりを持った人は、 その人の明るさ、幸福感が いつの間にか広がっていき、 まるで太陽の温もりが 大地を温めるように、 いつの間にか人々の心を 優しく潤していくものです。 |
2017.08.05 |
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