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宝物ファイル 岩堀 美雪(一般社団法人子どもの笑顔代表理事) 柴部 崇(シバ・サンホーム社長) 楽しい思い出の写真や手紙をファイルに入れていくことで 自己肯定感を育むという宝物ファイルプログラム。 【岩堀】 それで、担当するようになったのが 学級崩壊状態のクラスだったんです。 【柴部】 何年生のクラスだったのですか。 【岩堀】 五年生です。 授業が始まっても席に着かない、 下履きは踵を踏んでスリッパ状態、 「うざい」「きもい」と 汚い言葉を連発する、 男女の仲も最悪。 これにはさすがに怯みましたね。 ここで宝物ファイルの取り組みを 提案したとしても 絶対に嫌な顔をすることは 分かり切っていましたから。 実際、始めてはみました。 しかし、宝物ファイルプログラムどころか クラス運営自体も苦しくて 夜も寝られず、 ひと月で六キロ痩せるなど 鬱病寸前のところまで経験したんです。 六月、教育委員会から来られた 指導主事の先生が、 私が疲れ果てている様子を見かねて、 「大変なクラスだということは 知っていますよ」 と慰めてくださいました。 「そうなんです。 四月からここまで 自分なりに頑張ってきたんですけど、 何も効果がないんです。 ただ一つあるとすれば、 言葉遣いです。 タメ口だったのを何とか 丁寧な言葉遣いに 変えることはできたのですが……」。 そう言いましたら、指導主事の先生から 思いがけない返事が返ってきたんです。 「一つでもあるじゃないですか」と。 その言葉を聞いた時、 子どもの嫌なところ、 悪いところ、 駄目なところばかりを見つけて イライラしていた自分に ハッと気づかされました。 そう思って冷静になると、 「あの子はまだ喧嘩はするけど、 四月に比べたら随分減ってきたな」 「この間、下級生の子に 優しくしていたな」 という長所が見えてきたんですね。 【柴部】 そこからクラスは変わり始めたのですか。 【岩堀】 というよりも私自身の子供たちを見る視点が よいところ、よいところというふうに 変わったのが大きかったと思います。 |
2017.07.08 |
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