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どこかで「よし」 堀澤 祖門(三千院門跡門主) 宮本 祖豊(比叡山円龍院住職) 比叡山で最も過酷な行と呼ばれる「十二年籠山行」を戦後 初めて満行した堀澤祖門さん。 【堀澤】 私は70年近く行を 続けてきたわけだけど、 行そのものには終わりはない。 ただね、終わりはないけれども、 いつまでも「まだまだ」じゃダメ。 不安感で覆われてしまうからね。 それを断ち切るには どこかで「よし」という 気持ちを持たないといけない。 「よし」ということは 終わりじゃなくて、 自分で納得して また新たに進んでいくということ。 進行形と、ゴールに既に 着いているということは 同時なの。 でも、自分で「よし」と 手応えを感じるまでには 50~60年かかったな。 【宮本】 50~60年ですか。 【堀澤】 80くらいになってやっと、 人間とか仏教とか いろんなものが分かってきて、 人生が楽しくなってきた。 やっぱり高いところを 求めているから、 そう簡単に満足できませんわ。 出家した時に考えたのは、 私の師匠は確かに 叡南祖賢だけれども、 叡南祖賢だけじゃない。 そのバックにはお釈迦様がいる。 だから、お釈迦様のレベルまで 行かなきゃならない。 本当の師匠はお釈迦様だと。 そう考えると、 もうこれでいいとか、 もう行は終わったなんてことはない。 無窮って言葉があるように、 道を求めるというのは そういうことなんだね。 |
2017.06.15 |
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