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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.260

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一語履歴 vol.260
山田無文老師 260a老子講義録 260b鉄道自体が 260c八木重吉の詩
一語履歴 vol.259
大切な知恵 259a人間愛 259b本当の自分 259cお恵みの一部でも
一語履歴 vol.258
日本の運命 258a宝物ファイル 258b森信三 258c幸せ発信地
一語履歴 vol.257
財政再建 257a人の三倍 257bはちみつ 257cお客さん
一語履歴 vol.256
ソクラテス問題 256a卑しい仕事 256b日本の 256cなごやかさによりて
一語履歴 vol.255
あの時 255a商品がある 255bお店が必要 255c二宮尊徳の教え
一語履歴 vol.254
リーダーの資質 254aこの4年間 254b「よし」 254c自分に対して
一語履歴 vol.253
鍵山秀三郎 253a黒だよな 253b自己の指名 253C師を必要とする
一語履歴 vol.252
命は深い 252a作家として 252bお店を繁盛 252c国家の柱石
一語履歴 vol.251
東洋や西洋 251a日本の心学 251b何気ない言葉 251cハートが
山田無文老師

明治の初年以来、150年続く
日本料理の名店・招福樓。
大主人が語る、山田無文老師との逸話。

中村 秀太郎(招福樓大店主)

7月の炎暑の中を
訪れた私どもに対し、
無文老師は鉄瓶を提げて庭に降り、
井戸の冷水でお茶を立てて
もてなしてくださいました。

お茶の作法を心得ておらず
困惑する私に対して老師はひと言、

「茶は飲んだらよいもんじゃ」

と厳しい言い方です。

帰りの道すがら岩崎学長は、

「老師はあのひと言で
 もう君を弟子にして
 くださったんだよ」

と説いてくださいました。

以来、無文老師との尊いご縁は、
89歳で遷化なさるまで
およそ40年にわたって続いたのです。

愚息二人もお世話になりました。

無文老師が霊雲院に
迎えられて間もない頃、
嵐山の薩摩屋敷という
料理屋の女将から饗応を受け、
お供をさせていただいた時の
ことはいまでも印象に残っています。

女将は既に隠棲なさっていましたが、
非常に学識が高く、戦前は
満洲北支を股にかけて
歩いたという豪傑でした。

宴も終わり、お酒の入った
老師が赤い布団を被って
寝てしまわれた傍で、
女将は私に

「中村さん、
 あんたは得な人やな」

と語りかけてくださいました。

「大抵の人間は初めてのところに
 来たらよそ行きの顔をしよるが、
 あんたはきょう初めて会った
 私にも真っ裸でぶつかってきた。

 人間というものは、
 一生のうちに何度か
 よい師匠に恵まれるが、
 よそ行きの顔をして
 接するような人間を、
 師は拾ってくれない。

 そこに寝転んでおる坊主は、
 あんたを研いでもらうのに
 一番の砥石や。

 せいぜい一生かかって
 研いでもらうとよい」

あの無文老師を

「そこに寝転んでおる坊主」

と呼ぶ女将の肝の太さに驚きながら、
私はその言葉を心に深く刻み、
無文老師を我が師として
仰ぎ続けてきたのです。

「茶は飲んだらよいもんじゃ」
 
2017.07.20

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