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明治維新の立役者・大久保利通 勝田政治(国士舘大学文学部教授) 明治維新の立役者・大久保利通。 維新から150年近く経ついまなお、 大久保の評価は定まっていません。 独裁者、権謀術数を巡らす策士、 西南戦争で盟友・西郷を討った 冷徹な人物等々悪評がつきまといます。 私自身もそう思う一人でした。 マイナスイメージばかりが先行していたので、 歴史家でありながら積極的に研究テーマとして 取り上げる気にならなかったのです。 しかし、ある時、それが 先入観であると知るようになります。 きっかけは戦前まであった内務省を 研究テーマに学位論文を書いたことでした。 内務省を知るには明治維新を知り、 創設者である大久保を知らなくてはいけません。 調べれば調べるほど、 それまで見えなかった 大久保の一面が明らかになり、 私はいつの間にか彼の人柄と 並外れた指導力に魅せられるようになりました。 大久保のリーダーシップは、 人材登用面においても、 いかんなく発揮されました。 特に藩閥主義の強い明治初期に、 能力主義による登用を行い、 しかも一度任せた仕事には干渉しない という見識と手腕は注目に値します。 大久保が内務省を創設したことは先に述べました。 本来なら気心の知れた薩摩の 優秀な人間ばかり側近に置いても 不思議ではありません。 しかし、大久保は越前や丹後宮津、鳥取などの 藩出身者や薩長と対立関係にあった 元幕臣までも登用しています。 そこに大久保の器の大きさを感じるのは 私だけではないのではないでしょうか。 石川県令などを務めた 千坂高雅はこれについて 「大久保に心服していたというのは、 あの公平無私、至誠至忠の点にある。 閥族などという考えは少しもなかった。 内務省には鹿児島県人はいくらもいなかった」 と述べています。 |
2015.12.20 |
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