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わたしのしあわせ 里 みちこ(詩人) 大坂城公園の一角で詩の朗読会を20年以上にわたって続けてこられた 詩人の里みちこさん。 頭でつくったのではなく、心が動いた瞬間をとらえて詩にしていく。 たった二人で始めた朗読会でしたが、 その後は私の朗読に耳を傾ける人が次第に増えていき、 多い時には三十人にもなりました。 集まる方も主婦や会社の社長から ブルーシートでテント暮らしをする男性など様々で、 いつしか遠く北海道など府外からも 朗読を聞きに来てくださる方が現れるようになりました。 朝の朗読では、たくさんの詩も生まれました。 集まってくださる方々を喜ばせたいというよりも、 むしろ口から零れ落ちるようにして、 次々と生まれ落ちていくような感覚でした。 例えば、「朝」という、 朗読会の始めに必ず詠んでいた詩があります。 雲染め山染め空を染め 生まれたばかりのおひさまは わたくしまでも染めていく 家からめざめのまないたの音 窓からぬくもりの湯気のあと お早う! 生まれたてのわたし うまれたてのあなた 病気が重くなり、途中から朝の朗読に 来られなくなった浅野さんのために詠んだ詩でした。 誰も来ないある大雪の朝、 ひとり大阪城公園の桜並木を歩いていた時のことです。 枝に積もった雪をさっと払ったら、 そこに小さな芽が出ていることに 感動して生まれた詩もありました。 「いのちの四季」です。 思い切り泣いて春がきて 思い切り笑って夏がきた いっぱい泣いたら秋がきて いっぱい笑ったら冬がいった 春に花びらひとひら出会い 夏にお日さまきらきら浴びても 秋には別れのひらひら落ち葉 冬の風花ほろほろ沁みて 泣いてるうちにまたも春 季節はめぐり こころはめぐり 思いきり生きてひととせすぎて いっぱい生きてふたとせすぎて 齢かさねて生きてゆく 今日もよろしく はるなつあきふゆ いのちよろしく春夏秋冬 20年間同じところで続けた朝の朗読は 今年の1月17日に区切りをつけ、 いまは同じ大阪城公園内にある森の中へと 場所を変えて続けています。 思えば私の人生には、自分から何かをしたいと 考えて始めたことは何一つありませんでした。 すべては人とのご縁に導かれるようにして、 詩人として歩んでくることができました。 小さい頃から私の憧れは、 枯れ木に花をぱっと咲かせる「花咲爺さん」でした。 私も花咲爺さんのように人の喜びを 自分の喜びとして生きていきたい――。 私が花咲婆さんになれたかどうかは分かりませんが、 そうやって私なりの「しあわせ」を いまこの瞬間も感じています。 |
2015.11.22 |
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