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危険に直面する体験があるからこそ 喜びも大きくなる 長倉洋海(フォトジャーナリスト) 若くしてフリーカメラマンとして独立し、世界の紛争地や辺境の地を訪れ、 人の心を揺さぶるような1枚を追い続ける フォトジャーナリスト・長倉洋海さん。 ――いまはどのような心持ちで写真を撮られているのでしょうか。 常に世界に残る、歴史に残る一枚を撮りたい という気持ちはもちろんありますけど、 いまは心に残る一枚を撮りたいと思っています。 その道も平坦ではなく、ドキドキ、ハラハラしたり、 ある時はがっかりして、またある時は飛び上がって喜んだりするんですよ。 そういうことをしながら目指すところに 辿り着けたら、嬉しいなと思います。 世界各地を旅することは、辛いことや厳しいことや 不安を感じることもたくさんあります。 不安がない人生というのは、 それはそれで楽しいかもしれませんが、 僕は不安があるから喜びも大きくなると思うんですね。 ――不安があるから喜びも大きくなると。 第一次南極越冬隊隊長の西堀榮三郎さんも お年を召されてから言っていますよ、 人間は一年に一回くらいはアドレナリンが 吹き出るようなことをしなければダメだと。 僕にとって紛争地というのは、 それこそアドレナリンが吹き出るような場面の連続でした。 例えばソ連軍の爆撃で廃墟のようになった町を訪れた時のことですが、 物陰に隠れて用を足し終えたところに村の人がちょうど通りかかって、 「そこら辺に地雷があるぞ」と言われた途端にもう一歩も動けなくなってね(笑)。 自分はいまどこを歩いてきたか懸命に探したこともありました。 他にも一歩間違えれば地雷でやられていたことがたくさんありました。 でもそうやって危険に直面するような体験があるからこそ、 その揺り返しとして、喜びも大きくなる。 僕はその揺れ幅が大きければ大きいほど、 生きていることを強く実感するんですよ。 ――それが長倉さんにとって生きる力になっているわけですね。 そうですね。 それと写真に対する僕の考えが変わっていくことで、 過去の様々な体験や写真がそれまでと違った輝きを 帯びてくることを何度か体験してきました。 人生というのは、常に目の前に起こる物事を100%消化して、 納得して前に進んでいるわけではなくて、 時にはこれでいいのかな、分からないなと思いながら 一歩ずつ前進していると思うんですよ。 ところがそのクエスチョンマークを持ち続けていると、 後になってふとしたことで過去の問いの答えが見つかることがあります。 これは写真も同じで、もうこれは使わないなと思っていたような写真の中にも、 新たな価値を見つけることができる。 だから過去とはただ消耗したり、通り過ぎていくだけのもではなく、 いまを、そして未来を生きるヒントや、力を与えてくれるのだと思います。 |
2015.06.29 |
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