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失敗と躓きの数が人生の勲章 坂本健一(古書店「青空書房」店主) 坂本健一さん、90歳。 戦後、大阪の焼け跡で始めた古書店を 67年経つ現在も営業し続け、 その精力的な活動はテレビや雑誌でも 紹介され、話題となっています。 ――いまもお元気で現役を貫かれている秘訣はなんでしょう。 一にも二にも本ですな。 本屋に対する愛情と、本が私に向けてくれた愛情。 その交流だけです。 本ってね、生きて甦って私の心の中に飛び込んできてくれる。 「本は生きている」と書いたら、 「そんなアホな。ただ紙に活字が印刷してあるだけや」 と言う人がいたけど、そんな人は既に死んでるわ。 本ってね、読んであげることによって その作家の情熱や理想が伝わってくるんです。 どうしたら人に伝わるか、 自分のこの思いをどんな方法やったら 相手に伝えることができるか、 一所懸命考えて形になったものが本です。 ――きょうまで歩んでこられて、 人生で大事なことはなんだと思われますか。 自分を偽らんように、できるだけ自分に素直に生きること。 所詮世の中は嘘で固められているけど、 自分に対して嘘をついたらおしまい。 それから、人生辛いことも多いけど、 上司が悪い、世の中が悪いというのは通用せん。 全部自己責任。 どんな環境になっても、 病気で動けなくなっても、 それが自分の運命や。 私みたいに90になってまだ元気で 商いをさしていただけてるのは、 有り難すぎるほどの人生やから、心を尽くして、 人々にいままで受けてきたご恩、 受けてきたいろんな知識とか知恵を伝播していくのが 私の仕事やと思ってます。 これまでたくさん過ちや失敗を重ねてきたから、 それを伝えて若い人たちの参考になったらええやろ。 失敗と躓きの数がその人の勲章。 その数が多いだけ人生は豊かになる。 それが一番の貯金ですよ。 ――勇気づけられる助言です。 失敗して自分は一番しょうもない人間やと 思うのと同じレベルで、 自分ほど強くて、真っすぐで、 負けないやつはおらんという二つの重心を持つこと。 片側だけやと転んでしまう。 そして地べたに放り出されても、 そこで負うた傷を勲章に変える。 人生はオセロゲーム。 真っ白の裏に真っ黒。 真っ黒の裏に真っ白がある。 真っ黒の真後ろに真っ白があることを忘れたらいかんですよ。 |
2013.12.16 |
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