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弱点を武器に水族館に奇跡を起こす 中村 元(水族館プロデューサー) 集客に苦しむ山奥の水族館を 僅か1年で来館者数30万人に飛躍させるなど、 各地の水族館を次々と再生させている中村元氏。 厳しい条件の下、事態を打開する適切な手を 打ち続けることができるのはなぜか。 常識を常に疑っているんです。 みんながそうだと言っていることは、 本当にそうだろうかと、その奥を考えたくなる。 ですから結構理屈っぽいですね。 理屈っぽいというのは凄く大切で、 自分の哲学をつくります。 絶対にこうなんだって自信を持って 言い切らなければならないプロデューサーは、 しっかりした自分の哲学を 持っていなければなりません。 こちらの企画に皆が戸惑うようなことがあっても、 ちゃんと説得しなくてはいけませんから。 ――各館とも厳しい条件の中で、 再生を実現していくのは至難の業です。 僕は逆境であればあるほど頭が働くんです。 お金はいくらでもあるから 自由に考えてくださいって言われると、 逆に考えられなくなる。 だけど逆境では道は限られているから 見つけやすいじゃないですか。 ですから僕は、わりに順境の時でも 断崖ギリギリまで行くことにしているんです。 絶壁でこそ力が出るし、 そんなギリギリのところに優秀な人は来ませんから、 僕の力でも勝てる。 そこにやっぱり進化の道があるんですね。 ――逆境に進化の道がある。 生物が進化するのは、 存亡の瀬戸際に追い込まれた時です。 キリンの首が長くなったのも、 シマウマに餌を奪られてしまうからでしょう。 大きな進化ってギリギリのところにあるんですよ。 山の水族館の前に手掛けた 東京池袋のサンシャイン水族館は、 海から遠く、都会の高層ビルの上にあるために 大量の水が使えない。 敷地の半分が屋上にあって 屋根がつくれない。 夏は設置した椅子が座れないくらい熱くなるし、 冬は逆に寒過ぎ、 来館者数は年間七十万人に落ち込んでいました。 そこで僕は、屋上を緑化して庭園にしました。 屋上緑化で有名な玉川高島屋を調べて、 最悪の環境を「天空のオアシス」というコンセプトに転換し、 オープン1年で来館者数224万人を記録しました。 大事なことは、 自分のダメなところを直視する ことだと思います。 弱点を克服しようと思わずに、 武器にすることを考えていくと、 道は開けると思います。 |
2013.12.04 |
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