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引いたり寄ったりしながら物事を見る 川原尚行(認定NPO法人ロシナンテス理事長) 外務省医務官という職をなげうち、 北アフリカのスーダンでの医療支援活動 に人生のすべてを捧げる川原尚行氏。 国際組織も撤退を余儀なくされたという スーダンの支援に、いかにして活路を見出し 「道のないところに道をつくる」には何が大切か。 ――最初はどんなことから始めていかれたのですか。 まずは取っ掛かりが必要なので、 外務省時代から親交のあった イブン・シーナ病院で、 外科医として活動を始めました。 その傍ら、 友人から紹介された無医村地区で 巡回診療も行い、 一日中診療に明け暮れました。 ――村はどのような状態でしたか。 村人は蚊によって感染するマラリアや寄生虫疾患があり、 栄養失調や下痢症の子たちも数多くいました。 電気もなければ水道もなく、 日本から仲間が来てくれた時も 「ここで生活するのは大変だ」と驚いていました。 でも自分は全然苦にならず、 彼らと寝食をともにしていました。 ――病気もされなかったのですか。 いや、もちろんしましたよ。 長い下痢や高熱に相当苦しんだこともあります。 でも村の人から水を出されれば 濁っていてもその水を飲む。 ここで自前のペットボトルの きれいな水を飲むようではダメで、 彼らもそれを見ています。 あ、この人は自分たちの水を飲んで 笑ってくれたなと。 そうした積み重ねによって、 私という人間を受け入れてくれるようになります。 だから単に医療を提供するだけでは全然ダメで、 そこへ行くまでに彼らの生活の中に入り込んでいき、 その上で医療を行う。 そうすれば病気だけでなく、 人と向き合えるようにもなりますしね。 ――村の人たちとの間に まず信頼関係を築くことが必要なのですね。 そうです。 そして病気を含めて人を見られるようになれば、 今度はその地域を見られるようになり、 さらには国を見られるようになる。 これもフレームワークの取り方ですね。 でも国だの地域だのと、 引いてばかり見るようになってもダメで、 時にはグーッと寄ってみて、 一つの病気や一人の人とも対峙しなくちゃいけない。 その両方が必要なんですね。 ――途中でやめてしまおうと 思われたことはありませんでしたか。 それはないですね。 やめるということは、 自分の死を意味しますから。 要は命を懸けてやっているということです。 ――そういう覚悟があるからこそ、 次々に活路を見出していけるのかもしれませんね。 きっと枠がないんでしょうね。 しがらみがないから常に発想がフリー。 全く別なところにフレームワークが取れるから 結果的に活路を見出せるのかもしれません。 |
2013.11.16 |
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