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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.072b

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一語履歴 vol.071
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未来を載せてエコトラックが走る
      池田治子(エコトラック社長)

「これ、ええなぁ。二十一世紀の運送会社は
こういう車を使っていかなあかん」

夫が経営する大阪の運送会社に勤めていた私が、
環境に優しい“天然ガストラック”に
初めて出会ったのは一九九八年、
地元の地域行事に参加した時のことでした。

守口市とガス会社の共同ブースで
「排ガスがクリーン」だと紹介されていたのです。

アトピーに苦しむ娘を助けたいと調べていた医学書の中で、
車の排ガスと皮膚病の関連を指摘する報告を見つけ、
ディーゼルトラックの性能に疑問を抱き始めていた頃でした。

排ガスは真っ黒で人体に有害というのが当時の認識です。
天然ガス車との出合いは、
まさに“青天の霹靂”ともいうべき衝撃的なものでした。

すぐに夫の会社で二台リース購入し、
実際に排ガスを出すなど実験を敢行。

すると確かに黒煙も臭いもないのです。
「これ使える。もっと普及させなあかん」。
そう確信した瞬間でした。

しかし、同業者に勧めてみても
「環境では飯は食えない」とつれない返事ばかり。
九〇年代には、まだエコ=コスト高との先入観が根強くありました。

しかし、娘、ひいては次代の子供たちのためにも諦め切れません。

「将来天然ガス車は絶対必要になる。
 低公害車百%の運送会社をつくり、
 業績を上げれば、皆振り向いてくれるはずや」

そう決心し、夫の援助のもと「エコトラック」という
会社を立ち上げたのは一九九九年。
トラック五台からの、まさに手探りでのスタートでした。

天然ガス車にとって最も重要なのは燃料補給の問題です。
周囲からも不安視する声が多くありました。

しかし、幸いにも営業エリア内に
いくつか充填(じゅうてん)所が設置されていることが分かり、
この地の利が起業を後押ししてくれたのです。

そして、車両メーカー、ガス会社、行政の三者と連携を図り、
綿密な運行計画を立てていきました。

「長距離を走行できないのでは?」との声が上がれば、
実際に神奈川―大阪間をデモ走行してみせる、
環境イベントに車両提供の依頼があれば手弁当でも引き受ける。

その際に徹底したのは、「天然ガス車を普及させたい」という
創業理念から絶対にぶれないことでした。

つまり「儲かるかどうか」ではなく、
「低公害車の普及にプラスかどうか」を
唯一の行動指針として貫いたのです。

そのような損得抜きの取り組みを地道に積み重ねていくことで、
本気さが伝わっていったのかもしれません。
結果的に周囲の信頼が得られ、
大きな荷主さんが付いてくれるようにもなりました。

そして、「地球環境保全」という理念を掲げることで、
私たちの情報提供をもとにメーカーが車両改善に取り組めば、
ガス会社が充填所の営業時間などを見直す、
さらに行政も補助金制度などを整えていくというように、
異業種同士が垣根を越えて協力し合う体制が
少しずつ生まれていったのです。

また私は環境への取り組みとともに、雇用をつくり
従業員の自己研鑽を応援することにも情熱を傾けていきました。

そこには少子高齢化のため将来運送業を支える人材が
いなくなってしまうという事情もあります。

しかし何よりも、私には会社を支えているのは社長ではなく、
一人ひとりの従業員だという思いがありました。
トラック運転手はしんどい仕事です。

暑い日も寒い日も重い荷物を積んでは降ろす……。
その姿に私は心からの敬愛の念を抱くのです。

そんな彼らに報いるためにも、子育てをした経験を生かし、
資格試験の補助制度、女性の役員への抜擢、
若手の幹部登用など、皆が自己実現できる
環境づくりに苦心してきました。

当社に来られた方は皆口を揃えて
「あなたの社員はいつも笑顔で楽しそうですね」
と言ってくださいます。

お互いが認め合い切磋琢磨する社風もまた、
創業期からの成長を支えてくれたのだと感じています。

しかし、会社が順調に伸びていた最中の二〇〇三年、
突然経営危機に見舞われたことがありました。
最大の取引先だった家電販売店が
なんの前触れもなく倒産したのです。

衝撃でした。

すぐに家電以外の異業種へも必死に声を掛けて回り、
荷主の多様化を図りましたが、
それだけではとても危機を乗り切ることはできません。

焦りが募っていく中、この難局を救ってくれたのも、
やはり社員たちでした。

慣れた仕事以外のことをするのは
誰しも抵抗があるものですが、多くの社員が
「自分が会社の危機を救うことができるなら」と、
それまで扱ったことのなかった荷物の配達や
取り付け業務への現場移動に応じてくれたのです。

社員一人ひとりの粘り強い努力が強い結束力で一つとなり、
エコトラックは存続することができたのです。

十四年前、五台のトラックから始まった当社ですが、
いまでは従業員八十名、保有する低公害車は七十五台を数え、
年商も六億円にまで成長しています。

「私たちの会社が潰れたら、やっぱり天然ガス車なんて
 あかんって言われてしまう。この事業は絶対成功させたる」

との強い思いでこの十四年間、無我夢中で走り続けてきました。

しかし、天然ガス車の知名度はまだまだ低いのが現状です。
これからもエコトラックの活動を通じ
子供たちが安心できる未来を残していきたい。
そう心から願っています。
 
2013.10.27

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