過去の一語履歴を見ることが出来ます。
沖縄県と長野県になぜご長寿が多いか 小泉武夫(東京農業大学名誉教授) 私はずっと「食と民族」を研究テーマにしてきました。 世界七十四か国を巡り民族の食を見てきましたが、 数十年という短期間に国民の食がガラッと転換したのは 日本しかありません。 戦後日本人は伝統的な和食を稀薄化して 欧米食へと転換し始めたのです。 その結果、どうなったのか。 生活習慣病の急増です。 かつて世界一の富裕国といわれた日本が 大変な国債を抱えるようになったのも、 税収の多くを一年で三十七兆円という 莫大な医療費に充てざるを得ない現実があるからなのです(2012年)。 食生活の変化は日本人を病に導いているだけでなく、 国の財政まで圧迫していることを知らねばなりません。 戦後、日本人は低カロリー、低脂肪、低タンパクな食生活から、 高カロリー、高タンパク、高脂肪の食生活へと変わり、 六十年前から比べると、油の消費量は 約三・五倍、肉の消費量は約三倍になりました。 その象徴ともいうべき結果が、 全国都道府県別平均寿命ランキングで明らかになりました。 かつてご長寿ナンバー1だった沖縄県は、 いまや女性は三位、男性は三十位まで後退。 また、四十~六十代の死亡率が高く、 二十~六十九歳までの男性の肥満者の割合も 全国ワースト1という結果です。 一九四五年に米国施政下に入り、 一九七二年の返還後も米軍基地は残されたまま。 それゆえ沖縄のライフスタイルがアメリカ化され、 特に食生活では肉の摂取量が四十七都道府県でトップ、 逆に野菜は四十七都道府県で 最も少ない結果報告がなされています。 逆にここ数年、長寿県としてトップに立つのは長野県です。 五十年前の調査では全国下位だった同県は、 歴代の知事がこれではいけないと健康改善に取り組んできました。 死亡率の一番の原因だった脳溢血と胃がんを減らすため、 長年減塩運動を展開してきたのです。 しかし、さらに細かく調査してみると、 昔ながらの和食を食べている家庭が多いことが分かりました。 単に減塩しただけでなく、 やはり民族の伝統の食を守っていたからこそ、 長寿になったといえるでしょう。 沖縄県と長野県――この二県の食生活と 平均寿命の変化を見る時、伝統食の大切さが より伝わるのではないでしょうか。 |
2013.10.22 |
〒979-0154
福島県いわき市沼部町鹿野43
Mail infous@kushida-web.com
TEL 0246-65-2311
FAX 0246-65-2313
定休日:土曜日・日曜日