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看脚下 禅語の「看脚下」(かんきゃっか)。 東井義雄先生の名著 『自分を育てるのは自分』に収録されているお話。 大島みち子さんという女性がいた。 子供の頃は頭もよく、体も健やか、 本当に可愛い、いい子だった。 その大島さんに異変が生じたのは 高校に入った時だった。 顔の軟骨が腐るという難病にかかったのだ。 その治療のため、高校は五年かかってようやく卒業した。 彼女は京都の同志社大学文学部に進学。 だが、病気が再発、長い病院生活となる。 その間に河野誠さんという学生と知り合い、 手紙を取り交わす間柄になったりする。 この大島さんが書き残した文章を集めたのが 『若きいのちの日記』という本。 東井氏はこの本に、いまここで何をなすべきか、 人間としてもっとも大事なことを教えられたという。 大島さんは書いている。 「病院の外に健康な日を三日ください。 一週間とは欲ばりません。 ただの三日でよろしいから 病院の外に健康な日がいただきたい」 「一日目、私はとんで故郷に帰りましょう。 そして、お爺ちゃんの肩をたたいてあげたい。 母と台所に立ちましょう。 父に熱燗を一本つけて、おいしいサラダを作って、 妹たちと楽しい食卓を囲みましょう。 そのことのために一日がいただきたい」 「二日目、私はとんであなたのところへ行きたい。 あなたと遊びたいなんていいません。 お部屋を掃除してあげて、 ワイシャツにアイロンをかけてあげて、 おいしい料理を作ってあげたいの」 「三日目、私は一人ぼっちの思い出と遊びましょう。 そして静かに一日が過ぎたら、 三日間の健康にありがとうと、 笑って永遠の眠りにつくでしょう」 |
2019.05.11 |
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