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命懸けの仕事が自分を鍛えた 鍵山秀三郎(日本を美しくする会相談役) 高校卒業後、自動車用品会社に勤め始めた 鍵山さん。待っていたのは、命の危険すら 感じるほどの過酷な環境でした。 入社して間もない頃は何の知識も技能も ありませんでしたから、商品の配達や 売掛金の回収に駆け巡り、合間を縫って 自動車用品をつくったりメッキ加工を 施したりする技術を習っていきました。 また、米軍の払い下げ物資を落札してトラックで 引き取ってくるという仕事もしていました。 高校で習った程度の英語力しかなく、喋ることはできません。 それでも会社から指示された入札の基準に従って 見よう見まねで商品を落札し、税関に申告して税金を納め、 4トントラックを3~4台連ねて私の親くらいの 年齢の労働者ばかりを10~20人ほど乗せて、 引き取りに向かいました。 朝九時から11時半までの間に積み終えなければ、 残っている商品があっても締め出されてしまうため、 何としても時間内に積もうと必死でした。 当時はフォークリフトなどなく、 すべて人力で積まなければなりません。 中には自動車とは関係ない物も多く、 自分の背丈より大きな直径2メートルのタイヤもありました。 転がしている途中で倒したら起こせませんし、 もし下敷きになったら大怪我をするでしょう。 雨や雪の日は地面が滑りやすく、神経をすり減らすようにして、 まさに命懸けで運びました。ブレーキの故障しているバスを、 立川基地から坂の多い道を通って 西新橋の会社まで運転したこともあります。 他にもたくさん辛い、危険な仕事をしてきました。 それまで経験したことのない、なおかつ自分の能力を 遥かに超えることを要求されてきたわけですが、 それを私は拒否しませんでした。できないと決めつけないで、 とにかくやってみる。できるか、できないかではなく、 やるしかない。そういう心掛けで取り組んできたおかげで、 能なしで意気地のなかった自分を鍛えることができたのです。 「やったことないからできません」という台詞は、 逃げている人間の言い訳にすぎません。 |
2018.09.17 |
私のみるところでは 世の中は案外公平であります。 案外というよりも、 むしろ非常に公平であります。 多少の例外はあるかもしれませんが、 本当にやればやっただけのことはあります。 ごまかしたり、手を省いたりしていては、 特に学問の世界ではだめであります。 『平澤興一日一言』 若い頃、私は 「進むべき 道は一筋 世のために 我慢頑ばり 今日もあしたも」 などという歌をつくって、 これを座右の銘としたことがある。 『平澤興一日一言』 |
2018.09.17 2018.09.14 |
考えるべきはいかに死ぬか 五木 寛之(作家) 横田 南嶺(臨済宗円覚寺派管長) 【横田】 いま思い出しても冷や汗が出るんですが(笑)、 私は(松原泰道)先生に色紙を差し出して、 仏教の教えをひと言で言い表す言葉を 書いてくださいとお願いしましてね。 有名人にサインをねだるような感覚だったんですが、 先生は快く応じてくださり、この言葉をくださったんです。 「花が咲いている/精いっぱい咲いている 私たちも/精いっぱい生きよう」 15歳の少年に向けて、仏教の神髄をここまで 平易に表現した言葉はないと思うんです。 【五木】 その言葉は以前、『致知』で拝見して私も 大変感動しました。これも実に素晴らしい言葉ですね。 ただ、私のいまの実感はその逆でしてね。 松原先生の言葉になぞらえて言うならこうなるんです。 「花が散っていく/精いっぱい散っていく 私たちも/精いっぱい散っていこう」 【横田】 あぁ、精いっぱい散っていこうと。 【五木】 まぁ根がひねくれ者ですから、 そう考えるというのもあるんですが(笑)。 これからは高齢化社会でしょう。日本ではこの先、 何100万人という団塊の世代が一斉に75歳以上になり、 連日嵐のように世を去っていくわけです。 ですから、死というものをどう受け止め、 それにどう対処していくか。 この問題が、いまの日本人の一番大きな 命題だと私は思っているのですが。 【横田】 確かにそれは大事な問題だと私も思います。 【五木】 最近、『君たちはどう生きるか』という本が コミックになってベストセラーになっていますけど、 それどころじゃないだろうと(笑)。 いま真剣に考えなければならないのは、 いかに死ぬかがテーマだろう、 というのが率直な気持ちなんです。 どんな美しい花もいずれ散っていく。 ならばどうすれば精いっぱい散っていけるのかと。 もちろん花には咲くと散るの両方があって、 15歳の少年はこれから 精いっぱい咲いていかなければならない。 けれども私のように80代も後半になりますと、 どうしても散っていくことのほうに 関心が向いてしまうんです。 松原先生は、15歳の横田少年には 「精いっぱい咲きなさい」と説かれたけれども、 私がもしいま松原先生にお目にかかったら、 「花は散っていく。あなたも精いっぱい散りなさい」 っておっしゃったかもしれませんね(笑)。 |
2018.09.14 |
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