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朝の読書 大塚 笑子(朝の読書推進協議会理事長) 全国の小・中・高校2万7,000校に 導入されている「朝の読書」。 その立役者でもある大塚さんの活動の原点。 ──大塚さんを、「朝の読書」に 駆り立てた原点となる体験があったのですか。 私は子供の頃から陸上が得意で、 中学生の時には三種競技で全国4位になりました。 将来のオリンピック候補とテレビでも チヤホヤと持ち上げられていたんです。 ところが、高校時代、練習で股関節を外す 怪我をしてからというもの、 鳴かず飛ばずの状態になってしまいました。 期待されていただけに落ち込みも激しく、 死にたいな、生きているのが辛いなと そればかりを考えて生きる毎日でした。 実際、胃潰瘍で3か月入院したこともあります。 そういう時、兄が病院に見舞いに来て、 宮澤賢治の詩集と石川啄木の歌集を置いていってくれました。 賢治が死にゆく妹の姿を綴った「永訣の朝」の詩と、 啄木の「死ぬことを持薬をのむがごとくにも 我はおもへり心いためば」の歌に触れた時、 それまで死にたいと思っていた私が、 「世の中にはもっと大変な人がいる」と気づかされたんです。 窮地から這い上がることができたのは、そこからですね。 ──お兄様から渡された本に力を得られたのですね。 そういえば、私が体育大学に入った時、 兄から「いま何を読んでいるの?」と 聞かれたことがあります。 「陸上の試合で忙しいから読んでいない」と答えたら、 怒り出しましてね。「本は暇な時に読むものではない。 苦しい時にこそ読むんだ。自分で自分を高めなくて 誰が高めてくれる」って、そう言うんです。 ──読書によって自分自身を成長させよ、と。 ええ。だから私は読書で人生が変わったと 心から感謝しています。もし怪我も落ち込むこともなく、 本も読まず、チヤホヤされるだけの人生が続いていたら、 いまのような生き方はできなかったでしょう。 私が好んで読んできたのは、山岡荘八や山本周五郎、 杉本苑子の歴史小説でした。徳川家康などの 主人公の生き方もそうですが、その当時、 必死で生きてきた女性たちに思いを馳せ、 「この人たちにできて私にできないはずがない」 と自身を奮い立たせてきたんです。 人生というのは何が起きても自分で 立ち上がるしかありません。 本は私にその力を与えてくれました。 |
2018.09.05 |
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